メディア批評
テロが民主主義を揺るがす試練と感じさせたNHK「解スタ」第1部
◆多様社会に疑心暗鬼 年が明けた。歳末からテレビでは1年の主要ニュースから新たな年を占う特番が放送された。このうちNHKが12月26日深夜から27日早朝にわたり4時間余り放送した「解説スタジアムスペシャル 朝まで生討論…
「慰安婦」日韓合意に歓迎論調の中で履行見守り評価保留した読、産
◆歩み寄る双方に課題 日本と韓国の大きな懸案となり相互不信の象徴だった慰安婦問題は「最終的、不可逆的に解決」することで妥結した。岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相は28日にソウルで会談し、両政府の協議は合意に達した。また国…
安保法制、同姓合憲など今年の朝、毎、東京の論調を表す漢字は「虚」
◆「徴兵制」の虚言流す 今年の世相を表す漢字は「安」だったが、新聞はどうだろうか。むろん新聞は世相の鏡とされるから、「安」に異論はない。だが、それは表層のことで、その底流に「虚(きょ)」が横たわっていたように思えてなら…
海外情勢に左右される日本示す新潮の「最悪シナリオ2016」
◆「爆買い」消える予想 なんとなく持ちこたえた感のある2015年だったが、来年はいよいよ様々なところで取り繕ってきたものが綻びだしそうな予感がする。週刊新潮(12月31日、1月7日新年特大号)が「日本列島が蒼ざめる『最…
対テロ連合創設するサウジの狙いに疑惑の目を向ける西側メディア
サウジアラビアが、中東、アフリカ、アジアの34カ国・地域から成る対テロ「イスラム軍事連合」を新たに結成すると発表した。標的は、イラク、シリアで勢力を維持し、世界各地でテロを実行している過激派組織「イスラム国」(IS)と…
テレビ報道の偏向是正、視聴者の声がカギ
新聞との相互批判できず 月刊誌の最新号に、テレビ報道に関する二つの論考が載っている。一つは右派の「WiLL」2016年2月号の「テレビは新聞社のプロパガンダ機関か」で、寄稿者は最近、保守系論壇での執筆活動が目立つ米カリ…
線引き、財源で迷走した軽減税率も合意を評価し対策を求めた各紙
◆朝日ら批判は少数派 自公両党は2017年4月に消費税率を10%に増税する際、同時に導入する軽減税率で、「酒類と外食を除く飲食料品」で合意、16年度税改正大綱を決めた。軽減税率の線引きや、それを裏付ける財源の問題で協議…
夫婦同姓合憲判決に家族再生の視点を軽視して批判する朝、毎、日経
◆個人あって家族なし 父母を敬う、人を殺さない、姦淫しない、盗まない。モーセの十戒にはそうある(旧約聖書)。紀元前13世紀頃のものだが、古いからといって変えてよいものだろうか。 民法の夫婦同姓を合憲とした最高裁判決を…
TPP合意を米中パワーバランスの視点から分析したエコノミスト
◆好意的な世論の反応 TPP(環太平洋経済連携協定)が10月5日に大筋合意に達した。政府は11月6日にその概要を公表し、続いて同月25日に「総合的なTPP関連政策大綱」を発表した。これまでTPPの是非に関しては、日本の…
夫婦同姓「合憲」にもめげす“別姓誘導”続ける民放の偏向度
◆別姓論者を選ぶ番組 最高裁が「夫婦同姓」は合憲との判断を示した。その判決が出る前、夫婦同姓は時代遅れで女性差別だとの論陣を張ったメディアが多く、安保法制の時のような偏向報道にうんざりさせられた。そこで、合憲判断が出た…
共産党のパラドックス
左翼隠し目立つ「赤旗」/票は伸びたが党勢伸びず 日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」に9日から「『しんぶん赤旗』小話」という連載が載った。党員に部数拡大を働き掛ける意図だが、同紙自身を語る「小話」で何を“売り”にしている…
公明党の軽減税率、選挙公約の面目が立つ
隔たり超えた安保・税制 自民・公明の与党政策責任者会議が16日に開かれ、2016年度税制改正大綱を決定した。焦点は公明党が昨年の衆院選で公約した「軽減税率」。公明党の機関紙「公明新聞」をネット版で追うと、「軽減税率」の…
自民党の立党60年 「歴史・未来本部」で議論へ
「党の使命」に沿い理念作業 自民党の機関紙「自由民主」(12・8)は11月29日に行われた「立党60年記念式典」の紙面だが、7面に「歴史を学び未来を考える本部」設置――の記事が載っている。「立党の精神に立ち返り、未来を…
パリ協定採択で脱化石燃料社会での原発稼働反対の本音が覗く朝毎
◆高揚感ある各紙社説 とにかく参加196カ国の合意がなければ何も始まらない。そこで何とか12日夜(日本時間13日未明)に合意に漕(こ)ぎつけたのがパリで開かれていた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(CОP21)…
「ひとり親世帯の貧困」に対策説く毎日などに欲しい家庭再建の観点
◆首を傾げる貧困事例 「ひとり親世帯の貧困防げ」。こんなタイトルの記事が毎日3日付家庭面に載った。記事はひとり親(母子・父子)世帯の「貧困」を取り上げ、自治体の経済的支援策を紹介している。今年1年、ひとり親は子供の貧困…
「安倍一強」の“閉塞感”打破主張?元首相にスポット当てた新潮、文春
◆角栄氏の人心掌握術 週刊新潮(12月17日号)が「再び振り返る毀誉褒貶(きよほうへん)の政治家の魅力的実像」として田中角栄元首相を取り上げている。一方、週刊文春(12月17日号)では小泉純一郎元首相が安倍政府に苦言を…
H2A初の商業衛星打ち上げに地理的な弱点の克服など各紙が評価
◆MRJに続きエール 日本の航空宇宙業界にとって、2015年の今年はまさに記念すべき年になったと言えるだろう。約半世紀ぶりの国産旅客機、三菱リージョナルジェット(MRJ)の初飛行成功と、H2Aロケット29号機による初の…
公務員の特定秘密「適正評価」にプライバシーで抗う共同配信地方紙
◆推測で書く「抵抗感」 昨年12月に特定秘密保護法が反対運動の喧噪の中で制定されて1年、特定秘密を扱う公務員らが秘密を漏らす恐れがないかを調べる「適性評価」がほぼ終わり、同法は1日に完全施行された。 特定秘密の取り扱…
米中の宇宙開発の協力を後押し―NW日本語版の“軟弱外交”のススメ
◆一貫して「宇宙開発」 ニューズウィーク(NW)日本語版12月8日号に「宇宙での『中国外し』は限界」と題し、「宇宙開発 NASA(米航空宇宙局)が中国と協力することは禁じられているが存在感を強める中国を無視し続けるのは…
日本の不動産「爆買い」の中国富裕層を扱い社会の明暗示したクロ現
◆永住権が目的と指摘 今年の流行語大賞になった「爆買い」。受賞したのは免税店社長だが、中国人観光客が大挙してデパートや量販店、飲食街や観光スポットで買い物をする風景はケタ違いの豪快さだった。 世相を手っ取り早く映すテ…
CОP21/中印の削減率がGDP当たりの問題を説明した読売社説
◆危機認識する各論調 いよいよ待ったなし――となったのが地球温暖化対策である。温暖化の影響は、この10月には観測史上最大級のハリケーンがメキシコを襲うなど世界各地で干ばつや豪雨などの被害をもたらす異常気象として顕在化し…
「夫婦別姓」容認の各社説など「家族の多様性」論に欠ける子供の福祉
◆「個」を理由に正当化 本紙27日付論壇時評に「家族の復権」と題する月刊誌「正論」12月号の特集が紹介されていた(森田清策・編集委員)。テレビも新聞も「家族の多様性」を理由に同性婚の容認論に染まっているが、容認論は子供…
ISテロと米軍誤爆を同じに扱う報ステ・古舘氏を見逃さない新潮
◆反米親テロリスト? 「日本の言論空間は異質だ」と週刊新潮(12月3日号)は呆れ嘆く。その通りだ。たとえ日本に侵略軍が押し寄せても、憲法九条をかざせば、その「崇高な精神」に怖れをなして、すごすごと引き返す、というマンガ…