広がる教育正常化の動き 道徳教科化で平和教育駆逐へ

《 沖 縄 時 評 》

偏向教師は過去の遺物に 中国の宣伝工作浸透

広がる教育正常化の動き 道徳教科化で平和教育駆逐へ

平和教育で利用される沖縄県平和祈念資料館

 沖縄県では毎年慰霊の日の6月23日前後になると、学校や県内メディアが「平和教育」と称して沖縄戦の悲惨さだけが伝えられる。加害者は日本軍であり、ステレオタイプな体験談が繰り返し教えられる。すなわち、日本軍が住民をスパイとして虐殺した、集団自決を強いた、というような日本軍による住民被害のみが多く語られるのである。まだ右も左も分からないような児童の段階からそのような教育が行われるのだ。これらはまさに中韓が行っているような日本を憎む反日教育そのものであろう。

 ジャーナリストの仲村覚氏によると、中国は沖縄戦について、日本人による「琉球人大虐殺」という名称のプロパガンダ(政治的宣伝)を流し始めたようだ。沖縄における平和教育の内容は中国のこのプロパガンダと大きく合致しており、いかに沖縄県内の教育、メディアが中国の工作下にあるかということが如実に理解できよう。

 沖縄に関するプロパガンダは、いわゆる従軍慰安婦、南京大虐殺など本土の他のプロパガンダ以上に大成功を収めており、沖縄では日本軍による現地住民の大虐殺が常識のようにさえなっている。県内の本屋にもそのような歴史観で書かれた書籍が数多く並んでいる。県が編纂(へんさん)した沖縄県史でさえ同様のありさまだ。慰安婦、南京については本土の有識者により既にその虚構が論破されつつあるが、沖縄では沖縄に関するプロパガンダは放置されたままでいるのが現状なのだ。

 一例を挙げよう。元高校の歴史教師が書いた「沖縄戦から何を学ぶか―戦後60年戦争を知らない世代のための平和学習書」(2005年・沖縄時事出版・新城俊昭著)は以下の設問を子供たちに投げ掛けている。

 <Q 北部の山岳地帯に避難した人々は、米軍の攻撃以外に飢餓やマラリアにも苦しめられましたが、もう一つ、あるものからも身を守らなければなりませんでした。それは何だと思いますか?
 a、日本兵 b、天然痘 c、自然災害 d、地雷>
 驚くことに、ここでの模範解答は何と「a、日本兵」だ。あまりに不自然な設問に、実際に北部への疎開を経験している筆者の両親に尋ねてみた。すると、そんな話は見たことも聞いたこともない、絶対ないと全否定された。紙面の都合で他の例は紹介できないが、この教本では終始同じような誘導尋問で日本兵の悪事を子供たちに植え付ける。このような書籍が学校の副読本で使われたりするのである。この事例からもその異常さが理解できよう。

 沖縄では中国のプロパガンダに合致するように歴史的事実が改竄(かいざん)されてきたのだ。こうした歴史の改竄の主役を担ってきたのが県内大学の教授、沖教祖の左派教師たちであった。県内左派メディアもそれに乗っかった。彼らが暗躍し続ける限り、沖縄の教育は歪(ゆが)んだままで反日の子供たちが増え続けることに絶望感を持たざるを得ない。しかし、実は沖縄の教師たちの間に大きな変化の波が押し寄せてきているようなのだ。

◆子供の自尊心高める

 平成30年度から小学校で道徳の授業が教科化された。それに先立つ平成29年夏、沖縄モラロジー事務所主催で教員向けセミナーが開催された。セミナーには70人ほどの沖縄の教員が参加していた。そこでは道徳の教科化に備え授業で何を教えるべきか、野口芳宏先生という著名な元教師による道徳の模擬授業が行われた。模擬授業は天皇陛下について、そして日本人としての「出自の誉れ」を教えることで子供たちの自尊心を高めるという内容であった。

 教師たちは驚くほど、日本の国のこと、天皇陛下のことを知らなかった。教えられていないのだ。これでは「出自の誉れ」から生まれる自尊心が高まるはずがない。現場に帰った教師たちが模擬授業の内容をそのまま子供たちに教えるならば、自虐史観に染まった子供たちが変わり、教育が変わり、沖縄は大きく変わるだろうと思わされた。道徳の教科化が平和教育を駆逐し、沖縄が教育現場から変革されることが期待されるのだ。

◆ファクト中心の授業

 教育界では日教組の暗躍ばかりがクローズアップされ、偏向教師しかいない印象だが、実はそうではないことを筆者も恥ずかしながら最近知った。教育技術、指導法を開発するTOSSという教師の研究団体があり、全国で約2万人もの教師が会員となっている。TOSSは本来当たり前のことだが「ファクト(事実)」を中心とした教育技術を研究しているため、おのずと事実をねじ曲げてきた日教組教育とは真逆の教育理念に基づく授業が推進されているのだ。

 中でも領土・領海教育など日本の正しい姿を教え、子供たちが日本を大好きになる授業を行うなど、教育を正常化する上で非常に重要な役割を果たしている。筆者も視聴したが靖国神社の授業などもファクトを中心に論理展開されており、イデオロギーに支配されない公正中立な授業は誰もが納得できる説得力抜群の授業であった。

 実は沖縄においてもその活動は広がりを見せており、筆者は教育の現場から沖縄が変わり始めていることを目の当たりにした。ある沖縄県内のPTA連合会長に伺っても、偏向教師はごく一部であり、多くの教師は公正中立なのだそうだ。「教師は偏向している」とわれわれはレッテルを貼ってしまいがちであるが、今や偏向教師は孤立し、過去の遺物になりつつあるのだろう。

 それではなぜ、いまだに日本軍による住民被害という英霊の名誉を棄損する嘘(うそ)話が常識のように県内で教えられ続けているのか? 筆者はこの現象は中国のプロパガンダによる集団催眠のようだと思っている。教育現場が変わり、ファクトが伝わることで催眠から目覚める人が増えるはずだ。目覚めた若者たちを前に、前時代の教育に染まった大人たちが途方に暮れる姿が目に浮かぶ。

 知念 章