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民主派ネムツォフ氏の暗殺
日本対外文化協会理事 中澤 孝之 迷宮入り事件の可能性 夢見た露の「オレンジ革命」 ロシアの反プーチン政治家ボリス・ネムツォフ(55)が2月27日夜、クレムリン近くで何者かに暗殺されて1カ月が過ぎた。犯行そのものは「よ…
終戦70年を巡る報道に思う
元統幕議長 杉山 蕃 頼りない「悲惨」一辺倒 如何に復興したかを伝えよ 終戦70年の今年、先の戦争に関する多くの報道がなされている。いずれも戦争の被害が如何に大きなものであったかを生存者の証言を加え、二度と起こしてはい…
リー・クアンユー氏に思う
桐蔭横浜大学法学部教授 ペマ・ギャルポ 小さくとも輝く国造り 日本はシンガポールに学べ 3月23日、シンガポールのリー・クアンユー元首相が91歳で他界したという悲しいニュースに接した。シンガポールは1965年8月にマラ…
歴史摩擦と「独の教訓」の限界
東洋学園大学教授 櫻田 淳 日中韓に要る同等の努力 違い認識するメルケル首相 日本を含む東アジア諸国にとっては、「戦後70年」とは、歴史認識に絡む摩擦が燃え盛る局面になったようである。歴史が「他人の経験」の集積であるな…
米・イスラエル関係の葛藤
アメリカン・エンタープライズ政策研究所客員研究員 加瀬 みき 確執と計算が生む危険 首脳間で不信渦巻く核交渉 3月17日のイスラエル選挙では、ネタニヤフ首相率いるリクード党が120議席中30議席を得、シオニスト連合に6…
集団安保は積極的平和主義
軍事評論家 竹田 五郎 首相に期待する再検討 武力行使は侵略国への制裁 安倍総理は通常国会で野党議員の質問に対し、武力行使目的の集団安全保障には参加しないと答弁した。 ところで、2月22日付産経新聞に中静論説委員が「…
国家形成を目指すクルド族
評論家 大藏 雄之助 IS駆逐で大同団結か 中東に散る3000万民族 40年ほど以前、私がソ連の特派員をしていた時、国際会議でイスタンブールを訪れて、予定よりも滞在を延ばしたためにモスクワへ戻れなくなった。やむを得ず、…
シャルリエブド事件に思う
日本大学名誉教授 小林 宏晨 自由と安全を崩す恐れ 同化が困難なムスリム移民 1月7日パリで12人が殺害されたシャルリエブド事件は、法的基準ばかりか、政治的基準からしても重大である。この犯罪が、西側世界に対するグローバ…
台湾に学ぶ豊かな地方造り
沖縄大学教授 宮城 能彦 商売エネルギーが充満 沖縄と似たもてなしの作法 15年前からほとんど毎年のように台湾に出かけている。 そのほとんどは、学生と一緒に台湾の歴史や文化を学んだり、台湾の小学校と交流することである…
二桁増額続く中国国防予算
拓殖大学名誉教授 茅原 郁生 習氏の複雑な党軍関係 軍人汚職摘発でアメとムチ 中国では、第12期全国人民代表大会(全人代)第3回会議が北京の人民大会堂で5日に開幕し、2015年度予算などが採決された。李克強首相による政…
「反ユダヤ不在神話」の崩壊
獨協大学教授 佐藤 唯行 デンマークで乱射事件 ユダヤ人に寛大だった王室 北欧の小国デンマークは欧州先進国の中でもユダヤ人に寛容で「反ユダヤ主義不在の国」と長らく信じられてきた。この評判を覆す血腥(ちなまぐさ)い悲劇が…
暗殺者教団の末裔との遭遇
歴史家 金子 民雄 快楽で若者誘った老人 日本人の想像を絶するIS 過激派組織「イスラム国」(IS)側に拘束されていた2人の日本人は、最悪の予想通りになってしまった。相手はまさしく現代版の悪魔の集団と思って間違いなさそ…
始まる米大統領選挙レース
在米外交評論家 那須 聖 リベラル潮流に変化か 民主・共和とも指導力が鍵 アメリカでは来年の11月に大統領選挙が行われる。アメリカの憲法の規定によると、この選挙に立候補する資格は35歳以上で、少なくとも14年間アメリカ…
日米金融緩和政策の比較
鈴木政経フォーラム・経済学博士 鈴木 淑夫 公的資金の投入に差 デフレに陥らなかった米国 日本では、1997年の金融危機発生後、低成長とデフレが続き、「失われた15年」となったが、その間に日本銀行は世界に先駆けて「非伝…
戦争動員態勢強めるロシア
ロシア研究家 乾 一宇 ウクライナめぐり決意 軍事ドクトリンで記述増加 昨年末、ロシアはウクライナ情勢などを踏まえ、2020年までを想定した2010年2月制定の軍事ドクトリンを急遽(きゅうきょ)修正し、公表した(2月1…
大地震は必ず来ると覚悟を
経済ジャーナリスト 尾関 通允 地域差がある地盤強度 不気味な太平洋の沿岸地帯 最初に設問したい。1923年(大正12年)9月に関東南部を襲った大地震の震源地はどこだったろうか、と。しばらく前まで、筆者自身は「東京湾北…
「過激組織IS」とイスラーム
東京国際大学名誉教授 渥美 堅持 命令権はアッラーだけ 混乱の利益に群がる残党ら シリア、イラクに広がる広大な沙漠にアラビアンナイトの亡霊に似た群団が突如と出現、水と食糧と財産を求めて扇形にユーフラテス川沿いに拡大北上…
「平成の養生訓」を考える
メンタルヘルスカウンセラー 根本 和雄 性格は健康に影響する こころの養生が長寿の要諦 我が国は超高齢社会の只中にあって、いま求められるのは、いかに健やかに自分の人生を全うするかという「健康寿命」ではなかろうか。その寿…
歴史教科書に著作権なしか
教育研究者 杉原 誠四郎 疑問ある東京地裁判決 他社記述流用が増える恐れ 昨年、年の瀬も迫った12月19日、東京地裁(東海林保裁判長)で、歴史教科書には著作権はないというまことに奇妙な判決が出た。 訴訟の原因となる事…
ISの日本人虐殺事件に思う
元統幕議長 杉山 蕃 過剰反応は思うつぼ 無謀な渡航や取材に規制を 年初からシリア・イラク国境地帯の「イスラム国」(IS)を名乗る過激派武装集団支配地域で拘束された日本人2名人質事件で、マスコミは一斉にトップニュースの…
西側諸国の対露戦略の弱点
アメリカン・エンタープライズ政策研究所客員研究員 加瀬 みき 軍事から手を引く米国 ドイツでは限界ある指導力 ウクライナをめぐる西側諸国対ロシアの攻防は明らかにロシアが圧倒的優位にあり、ウクライナ政府は不利な条件を飲ま…
日本メディアの「ISIL」呼称
東洋学園大学教授 櫻田 淳 「イスラム国」は不適切 機械的な訳が続く知的怠惰 世界を震撼させている過激集団ISIL(THE ISLAMIC STATE OF IRAQ AND LEVANT)は、どのように呼ばれたのか。…
長期的展望でODA大綱改正を
桐蔭横浜大学法学部教授 ペマ・ギャルポ 積極的平和主義へ一石 国連で相応しい位置を得よ 日本国政府はODA(政府開発援助)に関する大綱の改正を行おうとしている。これは日本国にとって大変重要なことであると考え、その方針に…