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ユダヤ系兵站の黄金時代
獨協大学教授 佐藤 唯行 17~18世紀に墺独で活躍 川船の大船団造り物資搬入も 兵站(へいたん)とは戦闘部隊のために軍需品の補給などを担当する軍の後方支援集団だ。兵站を軽んじた旧日本軍と異なり、欧州の軍隊は昔からそれ…
対台湾政策を変えたアメリカ
平成国際大学教授 浅野 和生 中国民主化の前提崩れる 「平和的話し合い」の神話放棄 外交は合理的な合意の積み重ねで成り立つものとは限らない。時には、相互に矛盾する合意をすることも、矛盾の上に関係を継続することも、外交テ…
与党が圧勝したインド総選挙
拓殖大学国際日本文化研究所教授 ペマ・ギャルポ 国民は経済より安保優先 モディ首相の強い指導力支持 世界最大の民主国家インドでの5年に1度行われる下院議員選挙は与党人民党の圧勝で無事終了した。モディ首相のインド人民党(…
進化する中国サイバースパイ
日本安全保障・危機管理学会 上席フェロー 新田 容子 世界に監視システム輸出 ドローンの飛行データ傍受も 中国の台頭は、サイバー分野の変化に等しい。世界最大のインターネットユーザー、経済拠点、軍事力や諜報(ちょうほう)…
インド太平洋構想とスリランカ
東洋学園大学教授 櫻田 淳 米中せめぎ合いの舞台に 「自由度」の維持・向上が大事 現下、米中両国の確執が浮上させた「第2次冷戦」の風景は、日米両国が展開する「自由で開かれたインド太平洋」構想と中国が主導する「一帯一路」…
原子力推進艦艇装備の勧め
元統幕議長 杉山 蕃 攻撃型原潜増強する中国 通常型潜水艦では対応困難 先日、陸上自衛隊が装備する対艦ミサイル(12式地対艦誘導弾)の射程延伸が計画されている旨報道された(産経)。本件は、数度にわたって筆者が主張してき…
ロシア機炎上事故の背景
日本対外文化協会理事 中澤 孝之 評判悪かったSSJ100 着陸装置とエンジンに難点 モスクワ北西部のシェレメチェボ国際空港に5月5日夜、アエロフロート・ロシア航空の旅客機が緊急着陸し炎上、乗客73人、乗員5人の計78…
なぜ沖縄に広大な米軍基地が
沖縄大学教授 宮城 能彦 本土移転阻んだ憲法9条 読み方で印象変わる新聞記事 モノゴトは立場や角度を変えてみると全く別のものに見えてくる。あるいは、立場を変えて見たり考えたりすることで全く正反対の印象を受けることがある…
米中貿易戦争、団結する米国
アメリカン・エンタープライズ研究所客員研究員 加瀬 みき 強硬姿勢貫くトランプ氏 議会・諜報機関・軍と思惑一致 アメリカの対外政策を読み解くのは簡単ではない。「アメリカ」とは政権なのか、大統領なのか、議会、共和党か民主…
「御代替わり」をどう教える
麗澤大学大学院特任教授 高橋 史朗 官民協力し教材作成急げ 子供たちに正しい知識・情報を 4月22日、天皇陛下の御退位および皇太子殿下の御即位に合わせ、文部科学省は全国の都道府県教育委員会などに向けた通知で、「国民こぞ…
スリランカの「ガマダ」に学ぼう
エルドリッヂ研究所代表 政治学博士 ロバート・D・エルドリッヂ 官民協力し地域活性化 若者のエネルギーと知性活用 復活祭祝日の4月21日、スリランカの国際ホテルや複数の教会で起きた恐ろしいテロ事件に世界は震撼(しんかん…
国を守るという意味
拓殖大学防災教育研究センター長・特任教授 濱口 和久 民間防衛の先進国スイス 見習うべき国民の国防意識 日本ではスイスを非武装中立国と思っている人が多い。しかし、スイスは武装中立と徴兵制(国民皆兵制)を国防戦略の基本に…
金融政策の路線修正図る米欧
鈴木政経フォーラム代表、経済学博士 鈴木 淑夫 日本の課題は潜在成長率 邪魔になる2%の物価目標 米欧の金融政策が、正常化路線(非伝統的金融政策からの出口政策)から外れてきた。米連邦準備制度理事会(FRB)は2019年…
濃霧の中の中国「一帯一路」
拓殖大学名誉教授 茅原 郁生 戦略目的はなお不明確 抑制的な姿勢見せた習演説 米中角逐が貿易問題から安全保障や次世代技術の国際規格争いに拡大する中で、去る4月26日に「一帯一路」戦略第2回国際フォーラムが北京で閉幕した…
敗訴した日韓WTO水産物係争
東京財団政策研究所上席研究員 小松 正之 実効ある安全対策を示せ すべきだった日米共同の調査 2011年3月に発生した東日本大震災による福島第1原子力発電所の炉心のメルトダウン以来、韓国が福島県など8県の水産物の輸入停…
「象徴」としての天皇と日本人
秩父神社宮司 薗田 稔氏に聞く 平成から令和への御代代わりと、それに際しての上皇陛下、天皇陛下のお言葉は多くの日本人に好感をもって受け止められ、日本人としてのアイデンティティーを高めた。民俗学にも詳しい薗田稔秩父神社宮…
長崎キリシタンの反ユダヤ主義
獨協大学教授 佐藤 唯行 イエズス会通じ偏見抱く 異端審問激化した16世紀末 われわれ日本人が近代以後、ユダヤ人迫害に手を染めず、反ユダヤ主義勢力を国内に抱え込まなかった事実は、世界に向かって誇るべきところである。しか…
「ナラティブないのち」とは
名寄市立大学教授 加藤 隆 人間は「物語」を紡ぐ存在 「情報」は代役にはなり得ず 以前、大阪のホスピス病棟で得難い経験をしたことがあった。余命がわずかとなった中年の男性が、20年音信不通にしていた弟の連絡先を見つけ出し…
「統一地方選挙」が示した危機
平成国際大学教授 浅野 和生 “無投票”多く低い投票率 民主主義が地方政治から腐朽 4月7日と21日、いわゆる「統一地方選挙」の投票が行われた。都道府県、市町村などすべての首長と議会の選挙が100%同時に行われるのが真…
日本は「一帯一路」拒否明言
拓殖大学国際日本文化研究所教授 ペマ・ギャルポ 曖昧な姿勢利用する中国 習政権の延命を間接的に助勢 読者の皆様がこの新聞を目にする頃、時代は平成から令和に変わっているだろう。チベット語の発音ではレワという言葉に近く、そ…
INF条約破棄の波紋
ロシア研究家 乾 一宇 米の対応で日本にも影響 露、イージス・アショアを警戒 米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約について、トランプ米大統領同様、プーチン露大統領も、3月4日、条約の履行停止の大統領令に署名した。条約…
令和の時代の平和を考える
元統幕議長 杉山 蕃 集団安保への協力不可欠 宇宙・サイバー防衛力構築も 平成の御代は、30年の歴史に終止符を打った。上皇陛下が御退位を目前に、在位30年を顧みて、「平成が戦争の無い時代として終ろうとしている事に心から…
ロシアの特殊作戦軍SOF
日本対外文化協会理事 中澤 孝之 クリミア併合の立役者 高度な能力持つ独立した組織 米国陸軍の特殊部隊「デルタフォース」の存在はよく知られている。主に対テロ作戦を任務とするが、湾岸戦争(1990~91)、アフガニスタン…