Viewpoint
人間の本性と情報化社会の限界性
名寄市立大学前教授 加藤 隆 「自分への価値」確信望む 無知の知を自覚し視点転換を トルストイに『人は何で生きるか』という作品がある。傲慢な金持ちが靴職人である主人公の店にやってきて、持参した皮を渡しながら上等の長靴を…
尖閣防衛とフォークランド紛争の教訓
東洋大学現代社会総合研究所研究員 西川 佳秀 最悪の事態想定し対策を 同盟国への過度の期待は禁物 尖閣諸島周辺海域には連日、中国の公船が押し寄せ緊張が高まっているが、今から約40年前のこの時期、南大西洋では英国とアルゼ…
災害対応の先駆となった濃尾地震
拓殖大学防災教育研究センター長・特任教授 濱口 和久 130年前、内陸最大級のM8 軍隊出動や地震研究の契機に 今年は東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から10年、熊本地震から5年という節目の年だが、もう一つ忘れては…
日米首脳会談の成果と担うべき課題
拓殖大学名誉教授 茅原 郁生 「防衛力強化」の推進必須 求められる同盟国の共同責務 去る4月16日には、世界に先駆けて菅総理が米国に招かれ、バイデン大統領との対面での初首脳会談がワシントンで開催され、両首脳の信頼関係深…
セダカの伝統守る「慈善の民」
獨協大学教授 佐藤 唯行 温情主義のユダヤ企業家 福祉・教育事業にも莫大な献金 ユダヤ人を形容する枕詞(まくらことば)の一つに「慈善の民」という言葉がある。それを裏付ける統計的数値もある。1997年の調査によれば、英国…
新旧両文明がせめぎ合う米国
文明論考家、元駐バチカン大使 上野 景文 啓蒙主義派VS伝統主義派 二つの「正義」衝突の宗教戦争 昨秋の大統領選挙以降、「米国の分断」をめぐり、世間がかまびすしい。が、憂慮すべきことなのか。文明・宗教という補助線で見れ…
立ち直る世界経済と日本
鈴木政経フォーラム代表、経済学博士 鈴木 淑夫 大規模な対策実施が奏功 設備投資と輸出が回復を牽引 新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延(まんえん)で、世界中の株価が暴落したのは、昨年1~3月のことであった。しかし、そ…
露外交官一家の北朝鮮脱出行
宮塚コリア研究所代表 宮塚 利雄 手押しトロッコで1㌔強 コロナで封鎖の国境の橋渡る 北朝鮮問題に長年携わっているが、北朝鮮と言えばとかく「怖い・気持ち悪い・暗い」というイメージと、奇異なヘアスタイルで注目を浴びる指導…
バイデン氏「人殺し発言」の波紋
日本対外文化協会理事 中澤 孝之 単なる「失言」か「挑発」か 反発も健康不安説煽るロシア ジョセフ・バイデン米大統領は3月17日、米ABCテレビの司会者、ジョージ・ステファノボロス氏の「あなたはロシアのプーチン大統領を…
ボイコットすべき冬季北京五輪
平成国際大学教授 浅野 和生 自由世界が独自の大会を ベルリン五輪の轍踏まぬため 2022年2月、北京での冬季オリンピックが成功すれば、中国による新型コロナウイルスに対する勝利と、習近平の「中華民族の偉大な復興の夢」が…
日米初対面首脳会談への展望
東洋学園大学教授 櫻田 淳 米中対立下、旗幟を鮮明に 中国の「潜在敵国」である日本 4月中旬、菅義偉(内閣総理大臣)がワシントンに飛んで開催することになる日米首脳会談は、ジョセフ・R・バイデンにとっては、パンデミック最…
対中姿勢を一新した米政権
アメリカンエンタープライズ研究所客員研究員 加瀬 みき 最大の競争相手と定義 自由世界の体制守る覚悟示す アラスカで行われた米中外相級会談はカメラの前で展開された烈(はげ)しい衝突が注目された。中国の強硬姿勢とそれに断…
第3の政党設立を望む米国民
エルドリッヂ研究所代表、政治学博士 ロバート・D・エルドリッヂ 有権者の約半数が無党派 2大政党への失望・不満が拡大 最近、アメリカで新しい調査結果が発表された。それによると、62%のアメリカ人が第3の政党の設立を望ん…
米新政権の東アジア外交姿勢
元統幕議長 杉山 蕃 クアッド連携強め対中圧力 新たな防衛戦略が必要な日本 3月16日から19日にかけて、米国務長官ブリンケン氏は、東アジア3カ国と外交首脳会談を行い、新政権の外交姿勢を明確にした。日・韓とは2プラス2…
沖縄県民こそボランティアを
沖縄大学教授 宮城 能彦 被災地で各地の問題直視 沖縄問題「相対化」する契機に 2011年3月11日の東日本大震災から10年が経(た)った。 10年目の節目ということで、テレビや新聞ラジオではその特集が目白押しである…
対中戦略にグランド・ストラテジーを
日本安全保障・危機管理学会上席フェロー 新田 容子 日米豪印と欧州の連携必須 D10で政治・軍事的脅威に対抗 3月18日、アラスカで開催された米中外交トップ会談で、人権問題、サイバー攻撃、他国への経済的圧力などバイデン…
白人支配の打破に挑戦した日本
拓殖大学防災教育研究センター長・特任教授 濱口 和久 人種差別撤廃、初めて提案 パリ講和会議、米英反対し否決 大正8(1919)年2月13日、第1次世界大戦後のパリ講和会議国際連盟規約委員会において、日本全権である牧野…
日本に必要な自主自立の精神
拓殖大学国際日本文化研究所教授 ペマ・ギャルポ 国防は国の最重要責務 米への他力本願は甘えの構造 菅総理の国民に対する公約ともいうべきスローガンは、「自助共助公助」であると広く報じられた。私にはこれらの言葉は大変良く響…
普遍的価値の同盟を主導せよ
東洋大学教授 西川 佳秀 反強権政治の態度鮮明に 払拭すべき欧米の対日不信感 東西冷戦が終焉(しゅうえん)した1990年代初頭、ハーバード大学教授のサミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』を著し話題となった。同書で彼が…
コロナ禍の英国ユダヤ社会
獨協大学教授 佐藤 唯行 超正統派でクラスター ニュースを見ず密状態で礼拝 ユダヤ人は健康志向と長寿で名高い人々だ。 過度な飲酒や喫煙を控える生活習慣、医療を受けやすい社会的立場、良好な生活環境を保障する経済力。これ…
「北京2022」への対応を考える秋
東洋学園大学教授 櫻田 淳 体制擁護に使われる五輪 「西方世界」と協調すべき日本 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)最中、森喜朗TOCOG(東京オリンピック・パラリンピック組織委員会)会長の辞任の顛末(てん…
実戦的訓練強調した習軍令1号
拓殖大学名誉教授 茅原 郁生 米の対中圧力強化に焦り 軍引き締め、強い指導者像誇示 中国の習近平中央軍事委員会主席は、年初に「軍は実戦的訓練を急げ」と開戦に備えるような、2021年の軍命令第1号(軍令1号)を発した。 …
50年前作成の国連海洋法条約の限界
一般社団法人生態系総合研究所代表代理 小松 正之 各国の思惑を優先し成立 内容バラバラの資源管理項目 地球温暖化は海洋にも影響を及ぼす。米西海岸のロブスターが北上し、メイン州とカナダ東海岸では豊富になったが、南ではほぼ…