社説
この時期に追加金融緩和は適切だったのか
日銀が長期国債の年間買い入れ額を50兆円から80兆円に引き上げる追加の金融緩和に踏み切った。意外性や円安の進行から、株式市場は7年ぶりの高値を付けた。消費増税後、「デフレ脱却が大幅に遅れるリスクを未然に防ぐため」として…
文化の日、長い目で見た育成も忘れずに
きょうは文化の日。情報化、グローバル化の中で、国力の要素として政治力、経済力、軍事力などとともに文化力が注目される時代となった。 わが国では、政府がクールジャパン戦略の先頭に立って、日本文化の発信、売り込みに力を入れ…
「乏しい成果」と言うしかない拉致訪朝団
拉致被害者らの再調査について北朝鮮の特別調査委員会と平壌で交渉した日本政府代表団が帰国した。 「拉致問題が最重要課題である」との日本側の立場を、調査委のトップである北朝鮮の高官に直接伝えられたことはよかった。しかし、…
米企業の廃炉作業参入に原発賠償条約が必要
政府は、原発事故の発生時に加盟国が資金を出し合って迅速な損害賠償を可能にすることなどを定めた「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」の承認案と関連法案を閣議決定した。 CSC加盟は東京電力福島第1原発の廃炉作…
ウクライナ東西分断の固定化を許すな
ロシアによるクリミア編入や東部地域での親露派武装勢力との紛争で揺れるウクライナで、最高会議(議会、定数450)選挙が行われ、親欧米派勢力が圧勝した。 一方、分離独立を掲げる東部の親露派武装勢力が予定する来月2日の選挙…
沖縄知事選告示 県、政府、米の協調守る戦い
任期満了に伴う沖縄県知事選(11月16日投開票)がきょう告示される。現職で3選を目指す仲井真弘多氏に、革新政党の支援を受ける前那覇市長の翁長雄志氏、元参院議員で前民主党県連代表の喜納昌吉氏、元郵政民営化担当相の下地幹郎…
「生きる力」育むのに道徳の教科化が不可欠だ
中央教育審議会が小中学校で道徳を正式な教科に格上げするよう答申したことで、検定教科書を使った道徳教育が平成30年度から始まる見通しとなった。学校での道徳教育が本格化に向かっているのを契機に、学校と家庭・地域の連携を強め…
福島新知事、将来像明示し復興加速を
東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第1原発事故後初となった福島県知事選は、無所属新人で前副知事の内堀雅雄氏が初当選した。 内堀前副知事が当選 3選出馬を見送った佐藤雄平現知事は、内堀氏を後継指名した。内堀氏は自民、…
ODA見直し、大胆な戦略的活用を目指せ
安倍内閣は途上国援助の柱となってきた政府開発援助(ODA)の大綱を見直し、年内に新たな大綱を閣議決定する。国際環境が激変する中、ODAを戦略的に活用し、国際平和に寄与するのは先進自由主義国家として当然の対応だ。大胆な改…
中国4中総会、「法治」で統制を強化するのか
中国共産党は第18期中央委員会第4回総会(4中総会)で「法に基づく国家統治(法治)」の推進を決めた。 党が法律の上に君臨 これまで中国では法律よりも指導者の意向が重要視され、「人治」への批判が国内外で強かった。「人…
カナダ議会乱射、国際協力でテロを封じ込めよ
カナダの首都オタワ中心部で、イスラム過激思想に共鳴していたとみられるカナダ人の男が戦没者慰霊碑を警護中の兵士を銃で撃ち殺し、連邦議会議事堂に侵入して乱射するというテロが発生した。男は議事堂内で射殺された。 イスラム教…
ガス供給協議、早期の円満解決を望みたい
ロシアからウクライナへの天然ガス供給再開問題について、両国と欧州連合(EU)代表の3者協議が行われてきた。 ロシアが6月から停止 プーチン・ロシア大統領とポロシェンコ・ウクライナ大統領はこのほど、イタリア・ミラノで…
訪朝団派遣、北朝鮮のペースに乗せられるな
政府は北朝鮮による日本人拉致被害者らの再調査の現状を把握するため、27~30日の日程で政府訪朝団を平壌に派遣することを決めた。 不安募らす被害者家族 訪朝団は外務省の伊原純一アジア大洋州局長が団長を務め、同省や警察…
空爆だけでイスラム国掃討に対処できるのか
イラク北部からシリア東部の地域を占拠しているイスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国」は、6月末に国家樹立を一方的に宣言して以来、着実に勢力拡大を続けている。 一方、イスラム国に対抗する各国の連携は緒に就いたばかりだ…
女性2閣僚辞任、首相は任命責任の重さ自覚を
「女性の活躍」を改造内閣の看板に掲げて起用された女性2閣僚の小渕優子経済産業相と松島みどり法相が就任わずか48日で辞任した。第2次政権初の辞任でもあり、安倍政権には大きな痛手となろう。安倍晋三首相は任命責任の重さを自覚…
皇后陛下傘寿、心からのお祝いと感謝を
皇后陛下はきょう80歳の傘寿を迎えられた。心からお祝いを申し上げたい。 天皇陛下が昨年12月23日、80歳の誕生日を迎え、両陛下がともに傘寿となられたことは、国民にとって大きな喜びである。 天皇陛下に寄り添われ …
リニア認可、将来の位置付けを明確に
太田昭宏国土交通相は、東京(品川)と名古屋を結ぶリニア中央新幹線について、JR東海が申請していた工事実施計画を認可した。 開業すれば巨大経済圏が誕生し、日本経済の活性化につながろう。一方、人や企業が大都市に集中する動…
エボラ出血熱の封じ込めへの支援加速を
エボラ出血熱の感染者が増え続けている。日本は国際社会と協力し、封じ込めへの支援を加速すべきだ。 西アフリカで感染拡大 世界保健機関(WHO)によると、エボラ熱による死者は、疑い例を含め12日までに4493人、感染者は…
情勢変化への柔軟な秘密保護法の運用を
特定秘密保護法が12月中旬に施行されるのに先立ち、運用基準が発表された。これを施行法でなく、諸外国と同じように政令にしたのは適切である。国家が直面する危機は極めて多様であり、同法は的確に対応して運用しなければならないか…
地方創生法案、日本全国が活性化する議論を
まち・ひと・しごと創生(地方創生)法案が衆議院で審議入りした。 安倍晋三首相が「地方創生国会」と銘打った臨時国会の正念場であり、長期的に日本の再生を期する重要法案として与野党は臨んでほしい。 国民に努力と協力促す …
ニホンウナギの資源回復へ一層の取り組みを
生息数が激減しているニホンウナギの保護と資源管理を強化するため、養殖量を制限することで日本、韓国、中国、台湾の4カ国・地域が合意した。 ウナギの国際的な資源管理の枠組みができるのは初めてだ。しかし規制には不十分な面も…
女性活躍推進、「家族の価値」を軽んじるな
安倍晋三首相は「女性の活躍推進」を内閣の重要課題の一つに据え、自ら本部長に、全閣僚が参加する「すべての女性が輝く社会づくり本部」を発足させた。その趣旨に異論はないが、気掛かりな点がある。 それは活躍の場を「労働」に限…
日米防衛指針、効果的な具体策を盛り込め
政府が「日米防衛協力の指針」の再改定に向けた中間報告を発表した。 中間報告のため具体策に欠けるが、現在の指針と比較すれば日本が直面する危機的事態にかなり効果的に対応できる枠組みを設定している。問題は最終案で実効性のあ…