社説
臨床データ改竄、研究の透明性向上が不可欠
製薬大手ノバルティスファーマの高血圧治療薬ディオバン(一般名バルサルタン)をめぐる臨床研究データ改竄(かいざん)事件は、同社元社員が薬事法違反(誇大広告)容疑で東京地検特捜部に逮捕される事態となった。 再発防止には事…
改正国民投票法が成立、本気で改憲論議を始めよ
憲法改正の手続きを定める改正国民投票法が成立した。改正法は成人年齢の引き下げや公務員の組織的な投票勧誘の是非などの課題を残すが、改憲の道筋を整えた意義は大きい。本格的な改憲論議へ駒を進める時だ。 公務員の賛否勧誘は問題…
観光白書、一層のビザ緩和や魅力発信を
政府は先日発表した2014年版観光白書で、年間の訪日外国人数2000万人の達成に向けて、20年開催の東京五輪・パラリンピックが「強力な追い風」になるとして、波及効果を高める取り組みに直ちに着手する必要性を強調した。 1…
対中外交の明確な方針示せ
米国防総省が中国の軍事力や軍事行動に関する年次報告書を発表した。報告書は、中国が軍事費を急速に拡大させることで近隣諸国への影響力を強め、ひいては米国に対峙(たいじ)するという認識が基調になっている。 強硬な海洋進出を…
国会党首討論、民主党は具体案示し改憲問え
今通常国会で初めての党首討論が行われ、安倍晋三首相と民主党の海江田万里代表らが主に集団的自衛権をめぐって論戦した。海江田氏は集団的自衛権の行使容認は憲法改正によるべしと主張したが、憲法解釈変更の閣議決定に意欲を示す首相…
サッカーW杯をザックジャパンの集大成に
4年に1度のサッカーの祭典ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が12日(日本時間13日)から開幕する。各大陸予選を勝ち抜いたチームに開催国ブラジルを加えた32チームが世界一を目指して約1カ月間、熱戦を繰り広げる。 日本…
桂宮殿下薨去、心打った車いすでの御公務
桂宮宜仁親王殿下が薨去された。殿下は昭和天皇の末弟の三笠宮崇仁親王殿下の次男で、天皇陛下のいとこに当たられる。 皇位継承順位は第6位であられた。心から御冥福をお祈りしたい。 福祉に心を注がれる 2008年9月に敗血…
児童ポルノ規制強化の歩み止めるな
児童ポルノの所持を禁じる改正法案が衆議院本会議で可決され、今国会中に成立するのが確実となった。 需要を断たなければ供給は減らないのは当然のことで、所持禁止の実現は遅きに失した感があるが、成立すれば児童ポルノの撲滅へ一…
G7サミットでの対中牽制の宣言採択を評価
ベルギーのブリュッセルで開催された先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)は首脳宣言で、ウクライナの安定化に向けたG7の結束を表明し、ロシアに対し「制裁強化の用意がある」と警告した。 また、名指しを避けながらも海洋進出…
日本維新の会分党、「責任野党」の立場を忘れるな
政界再編の起爆剤になると注目された日本維新の会が分党する。橋下徹、石原慎太郎両共同代表をそれぞれ中核として新党を結成することになった。この動きは野党再編にも影響を与えようが、単なる数合わせに走らず、国家の基本にかかわる…
米無人機配備、中朝への抑止効果を期待
米軍の無人偵察機が、青森県の三沢基地に初めて一時配備された。中国や北朝鮮を念頭に日本を拠点とした偵察活動を強化する。自衛隊も無人機の運用に乗り出そうとしている。 防衛省も来年度に導入 日本に一時配備された米軍の大型無…
天安門25年、中国共産党独裁に未来はない
1989年6月4日、民主化を求めて北京の天安門広場で座り込みをしていた市民や学生らに対し、中国人民解放軍の戒厳部隊が無差別銃撃を行った。世界に発信された日曜日未明の惨劇は今も脳裏に焼きついている。あれから四半世紀を経た…
エジプト大統領選、民主化への足掛かりにせよ
エジプト大統領選が行われ、シシ前国防相が9割を超える圧倒的多数の支持を得て当選を確実にした。前政権への国民の不満が数字に表れた格好だが、悪化した経済と治安の回復という大きな課題が待ち受けている。 反発するムスリム同胞団…
北に対処する上で日米韓連携が不可欠
小野寺五典防衛相はシンガポールで、米国のヘーゲル国防長官、韓国の金寛鎮国防相と会談した。 3カ国は、核・ミサイル開発の放棄に応じようとしない北朝鮮に対して緊密に連携し、アジア太平洋の安定のために協力を進めることをうた…
公判積み重ね裁判員制度の検証を尽くせ
裁判員制度がスタートして5年がたった。今世紀初頭から進めている政府の司法改革の目玉の一つでもある。法律に素人の裁判員が裁判官たちと評議しながら判断することができるか――という当初からあった疑問への明確な回答はいまだない…
拉致再調査、全被害者の帰国につなげよ
スウェーデンのストックホルムで開かれた日朝協議で拉致問題が動き出した。北朝鮮が「拉致問題は解決済み」としていた従来の立場から「日本人に関する全ての問題を解決する」との立場に転換したからだ。北朝鮮は再調査のための特別委員…
中国の目に余る強硬姿勢に対抗を
安倍晋三首相はきょう、シンガポールで開かれるアジア安全保障会議で基調講演を行う。日本の安全保障の取り組みを国際社会に説明、とりわけ東南アジア諸国連合(ASEAN)の安全保障体制を支援していく姿勢を表明し、中国の海洋進出…
国会改革、戦術的対決以上に国益増進を
与野党7党が国会改革について協議し、毎月1回の党首討論、首相の委員会出席の負担軽減などを秋の臨時国会から衆議院で先行させていくことで一致した。国会運営をめぐっては古い慣例のほか、政治の停滞を生んだ不毛な対立の例を踏まえ…
典子さま御婚約、御慶事に出雲との縁思う
高円宮妃久子殿下の次女、典子女王殿下と出雲大社神職、千家国麿さんの御婚約が内定した。皇室そして日本国民にとって慶事であり、心よりお祝い申し上げたい。 女王の御結婚は戦後初 典子女王殿下は、天皇陛下の叔父、三笠宮殿下の…
国際社会はウクライナの新大統領支えよ
旧ソ連のウクライナで行われた大統領選は即日開票の結果、大富豪で親欧米派のペトロ・ポロシェンコ最高会議議員が圧勝する見通しだ。対立する東部を中心とする親露派と、西部中心の親欧米派の融和を願う多くのウクライナ国民は、東西双…
厚木基地訴訟、防衛と救難に支障来すな
自衛隊機は午後10時から翌日午前6時まで飛行してはならない―。米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和、綾瀬両市)の周辺住民が起こした第4次厚木騒音訴訟で、横浜地裁はそんな判決を下した。これで国の守りや救難…
陸域観測技術衛星「だいち2号」、災害監視で一層の国際貢献を
災害状況の把握や地図の作成などに役立つ陸域観測技術衛星「だいち2号」と大学などが開発した小型衛星4基を搭載したH2Aロケット24号機が打ち上げられ、衛星の軌道投入に成功した。 だいち2号は「だいち」より分解能がアップ…
大飯原発判決、ゼロリスク求め論理の飛躍
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働の差し止めを命じる判決を福井地裁が下した。安全性が確保されていないとして、原発の周辺住民らが、2012年11月に差し止めを求めて提訴していた。 規制委の安全審査中に 樋口英明裁判長は…