上昇気流
文芸批評家江藤淳(1999年自殺)と、作家で…
文芸批評家江藤淳(1999年自殺)と、作家で政治運動家の大江健三郎氏は、当初良きライバルだった。先ごろ刊行された小谷野(こやの)敦(あつし)著『江藤淳と大江健三郎』(筑摩書房)は、親密な関係から険悪なそれへの変化を、い…
動物写真家・前川貴行さんの写真展「GREAT…
動物写真家・前川貴行さんの写真展「GREAT APES」が東京・赤坂の富士フイルムフォトサロンで開かれている(4月9日まで)。副題は「森にすむ人々」でオランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボを撮影した集大成。 先…
徳川将軍家の相続を題材にした落語に「紀州」…
徳川将軍家の相続を題材にした落語に「紀州」がある。7代将軍の夭逝で、次代の将軍候補に尾州公と紀州公が挙がり、2人は急遽、幕閣の評定の席に。 尾州公は見栄が働いて、一度断っても再度言葉が掛かるだろうと「余はその徳薄くし…
週末、高崎から上越線で水上を通り、谷川岳…
週末、高崎から上越線で水上を通り、谷川岳下の清水トンネルをくぐると雪の越後湯沢である。東京では上野公園の桜がほぼ満開となったが、塩沢、六日町、小出駅と北上するコシヒカリの魚沼市は豪雪地帯の名の通りの雪国が残っていた。空…
自動で床上を動き回り、ゴミを吸引する円盤型…
自動で床上を動き回り、ゴミを吸引する円盤型の掃除機が何年か前にお目見えした時は、正直「何だ、これは。実用品になるのか」とさえ思った。が、今ではヒット商品の一つ。売り出すメーカーが増えてきた。 家電だけでなく最新の自動…
「鉛筆で髪かき上げぬ初桜」(星野立子)。…
「鉛筆で髪かき上げぬ初桜」(星野立子)。東京地方の開花宣言の後、いつ小社の敷地の桜が咲くだろうと思っていたら、いつの間にか七分咲きぐらいになっていた。それにしても、散るのも早いが、咲く方もあっという間。 とはいえ、よ…
「寂しいという感情は全くない。2000局以上…
「寂しいという感情は全くない。2000局以上指したので堪能した」と、18歳でプロ入りし56年半に及んだ棋士人生を振り返った。やり残したことはないと晴れやかな表情で語る。31日に引退する現役最高齢棋士の内藤国雄九段(75…
嘉永7(1854)年3月27日夜、伊豆の下田で…
嘉永7(1854)年3月27日夜、伊豆の下田で吉田松陰は、弟子の金子重之輔とともに2度目の来訪をしていたペリー艦隊に乗り込もうとして拒絶された。2人は奉行所に自首し、その後松陰は長州藩萩の野山獄、重之輔は岩倉獄に入れら…
栃木県佐野市にある万葉自然公園かたくりの…
栃木県佐野市にある万葉自然公園かたくりの里で、カタクリの花がいっせいに開花している。紫色の花がうつむいて先を反らしている様子は、可憐で美しい。 かたくりの里は、標高229㍍の三毳山(みかもやま)の北の斜面中腹にあり、…
レストランや宿泊施設などの格付けが流行して…
レストランや宿泊施設などの格付けが流行している。こういう目を引く華々しいものではないが、次のようなものも格付けの一つと言えよう。 経済産業省は、スポーツ教室の安全性や効果、利用実態を第三者が評価し、インターネット上で…
賜杯は千秋楽までもつれ込んだ大相撲春場所。…
賜杯は千秋楽までもつれ込んだ大相撲春場所。日馬富士の渾身の攻めを半身の持久戦で何度もしのいだ末に制し、終わってみれば14勝1敗の独走である。大鵬に並ぶ2度目の6連覇で、自身の最多記録をさらに伸ばしV34とした白鵬。 …
「高齢者の転倒・転落で亡くなる人は年間約…
「高齢者の転倒・転落で亡くなる人は年間約7700人。近年の交通事故死が6000人ほどだから、大変な数です」。先日、都内で開かれた日本財団ケアポートフォーラム2015で基調講演を行った日本転倒予防学会理事長の武藤芳照・日…
「古墳あり窯址ありて山笑ふ」(福井圭児)。…
「古墳あり窯址ありて山笑ふ」(福井圭児)。「山笑ふ」とは3月の季語。「春の山をいう。『臥遊録』の『春山淡冶(たんや)にして笑ふが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧ふが如く、冬山惨淡として眠るが如し』という…
テレビ朝日の「世界の村で発見!こんな…
テレビ朝日の「世界の村で発見!こんなところに日本人」は、世界各国の僻地で暮らす日本人を訪ねる番組。その志や人生観を紹介するのは面白いが、先週の放送分には大いに疑問が残った。 「シルクロード砂漠の果てに日本人女性」と銘…
将棋八段のプロ棋士が「二歩」をやってしまう…
将棋八段のプロ棋士が「二歩」をやってしまうという珍事が最近起こった。これは将棋盤の縦軸に歩を二つ並べてはいけないというルールで、初歩中の初歩だ。 二歩の瞬間、勝負は終了。反則負けとなった。八段という高位のプロが二歩を…
かつて米国のニューイングランド地方を旅した…
かつて米国のニューイングランド地方を旅したことがあった。マサチューセッツ州の港町グロースターは漁師の街であり、芸術家の街でもあった。ここには米国で最も古い芸術家村があった。 港に面した公園に、グロースターを代表する画…
「最近になって、電話公害ということがやっと…
「最近になって、電話公害ということがやっといわれはじめた。/私の知り合いの女性で電話帳に自分の名前(つまり女名前)で登録している人は、一人残らず、深夜のイタズラ電話の被害を受けている」。 1986年刊、塩田丸男著『口…
「昨年は、新疆ウイグル自治区での弾圧が…
「昨年は、新疆ウイグル自治区での弾圧が最もひどい1年でした。把握する限りで殺戮行為は37回、4千人以上のウイグル人が殺害されました」。ノンフィクション作家の河添恵子さんが、今年2月に来日したウイグル民族民主運動の指導者…
今春、大手生命保険会社で女性の役員登用が…
今春、大手生命保険会社で女性の役員登用が相次いでいる。第一生命保険は先月、女性補佐役(55)を執行役員とすることを発表した。このほか、日本生命で2人、明治安田生命で1人が昇格する。 住友生命でも、主に保険契約の審査部…
「お松明燃えて星空なかりけり」(開田華羽)。…
「お松明燃えて星空なかりけり」(開田華羽)。この句にある「お松明」は、きょうの夜に行われる京都三大火祭の一つ、嵯峨の清涼寺の涅槃会を指す。 高さ7メートルほどの松明を3本立てて燃やし、火勢の強弱で、その年の豊凶を占う…
金沢市は百万石の城下町だけあって、美味しい…
金沢市は百万石の城下町だけあって、美味しい和菓子が色々ある。駅ビル内の土産物売り場にも、老舗の和菓子屋さんがずらりと並び、目移りしてしまう。 ゆっくり土産を選ぶ時間のない人に、薦めたいのは「あんころ餅」。これはキオス…
あす開業する北陸新幹線終点の金沢は、…
あす開業する北陸新幹線終点の金沢は、独特の文化的存在感を持った都市だ。その一端は、三島由紀夫著『美しい星』(1962年)にも描かれている。 最近刊行された村松友視著『金沢の不思議』(中央公論新社)は「不思議」という切…
ベートーベンが残した5曲のチェロ・ソナタ…
ベートーベンが残した5曲のチェロ・ソナタは、「チェロの新約聖書」に例えられるほど、チェロ奏者にとっては重要なレパートリー。ベートーベンの生涯の前期から、中期、後期にかけての作曲法や精神が俯瞰(ふかん)できる名作なのだ。…