ベートーベンが残した5曲のチェロ・ソナタ…
ベートーベンが残した5曲のチェロ・ソナタは、「チェロの新約聖書」に例えられるほど、チェロ奏者にとっては重要なレパートリー。ベートーベンの生涯の前期から、中期、後期にかけての作曲法や精神が俯瞰(ふかん)できる名作なのだ。
スイスのチェロ奏者、マーヤ・ウェーバーさんと、スウェーデンのピアニスト、ペール・ルンドベリさんは2013年に「デュオ・レオノーレ」を結成。取り組んだのが5曲のチェロ・ソナタで、昨年CDをリリースした。
日本でもナクソス・ジャパンから発売され、それを記念して来日し、先日、東京のトッパンホールでリサイタルが開かれた。キリスト教文化を背景とするヨーロッパの精神を、ベートーベンの音の“建築物”で聴かせてくれた。
レオノーレは、ベートーベンのオペラ『フィデリオ』のヒロインの名前で、この大音楽家の美学である人間愛、自己犠牲、最後の勝利に導く勇気を象徴しているという。
マーヤさんは07年にストラディヴァリウス弦楽四重奏団を結成し、ヨーロッパの他、中国、日本、米国でも演奏ツアーを行ってきた。ペールさんは室内楽グループのピアニストで、オスロ音楽院教授。
2人の出会いは20年前にさかのぼるという。音楽一家だったマーヤさんのアンサンブルとペールさんは一緒に演奏活動をしてきたからだ。先日の公演も大好評で会場は熱気に包まれ、CDのサイン会も行われた。