今春、大手生命保険会社で女性の役員登用が…


 今春、大手生命保険会社で女性の役員登用が相次いでいる。第一生命保険は先月、女性補佐役(55)を執行役員とすることを発表した。このほか、日本生命で2人、明治安田生命で1人が昇格する。

 住友生命でも、主に保険契約の審査部門などでキャリアを積んできた女性(56)が同社の生え抜きとして初めての女性執行役員に。各社は「女性職員の活躍が会社の成長につながる」(明治安田生命)としている。安倍政権が企業に女性の積極登用を要請していることも背景にあろう。

 上場企業全体で役員に占める女性の割合は1・2%。それに対し、保険業界では営業、事務部門を中心に女性の比率が高く、2・5%という数字がある(2011年、内閣府調べ)。

 その一方、ポスト争いなど“社内政治”は盛んで、男性社会の要素が特に強いと言われるのもこの業界。また他社との競争、駆け引きも熾烈で、他社への誹謗中傷による契約取りのトラブルはよくある。

 今回、大手生保各社が申し合わせたような女性登用の発表は、こうした体質を改善する目的もあると思われる。05~08年に相次いだ保険金不払い・支払い漏れによるダーティーなイメージもいまだ払拭できていない。

 このため、女性の清新さをアピールする意図もあろう。外資系をはじめとする他の金融、保険会社の攻勢は強い。女性の力が試される今の時代にあって、注目される人事だ。