「古墳あり窯址ありて山笑ふ」(福井圭児)。…
「古墳あり窯址ありて山笑ふ」(福井圭児)。「山笑ふ」とは3月の季語。「春の山をいう。『臥遊録』の『春山淡冶(たんや)にして笑ふが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧ふが如く、冬山惨淡として眠るが如し』という一節からとった季題である」(稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』)。
それにしても「山笑ふ」とは言い得て妙。中国の北宋の画家・郭煕の言葉とも言われる。冬の寒々とした山には、葉の落ちた木や黒々とした常緑樹しかない。そんなどこか固い表情の山に、春になってチラホラと木の芽が吹き出し、葉も緑色が鮮やかになっていく。そのような変容をよく捉えている。
春の花といえば桜。その開花予想も東京では、きょうとなっている。見頃は30日から4月7日あたりまで。ちょうど入学式に重なる時期だ。
映画などでは、桜の花の咲き散る様子を入学式と合わせて映したりするが、そうピタリと重なることは少ない。ただ気流子の場合、新入生の時期に桜が満開だった記憶がある。
通っていた大学が飯田橋や市ケ谷の辺りにあったので、その花の道を感慨深く歩いたものだった。桜は毎年変わりなく咲くので、機会があればまた行ってみたい気がする。
人生で多感な頃というと、高校や大学時代になるだろう。それは「青春」という言葉にも象徴されるように春の季節に当たる。「山笑ふ」ではないが、色々あっても笑って過ごしたいものである。