暴行疑惑は民主党の時間稼ぎ
アメリカ保守論壇 M・ティーセン
最高裁判事指名で公聴会
カバノー候補が反撃
2人の娘の父親として、娘たちには、尊厳を持って扱われ、性的暴行を決して受けることのない社会に生きてほしいと思う。暴行のようなことがあれば、真剣に受け止めてもらえるそのような社会であってほしいと思う。2人の息子を持つ父親として、しっかりとした裏付けのない訴えのために、人生や名誉が破壊されることのない社会に生きてほしいと思う。
9月27日の上院公聴会で、クリスティーン・フォード氏の連邦最高裁判事候補ブレット・カバノー氏に対する主張の裏付けは何も得られなかった。フォード氏が名前を挙げた誰も、問題のパーティーがあったことを確認できなかった。暴行の事実ももちろん確認できなかった。フォード氏によると、友人のリーランド・カイザー氏がパーティーに参加していた。カイザー氏は、ワシントン・ポスト紙に、フォード氏を信じると言ったようだが、その発言に意味はない。カバノー氏が指摘したように、カイザー氏は「うそをつけば重罪が科せられることを分かった上で、私のことを知らないと言った。私と一緒にそのパーティーにいたかどうかも思い出せない」からだ。フォード氏はまだ車の運転ができる年齢ではなかったが、どのようにして会場に行き、帰ったのかを思い出せない。携帯電話や配車サービスなどない時代を知っているわれわれにとって、これは重要なことだ。パーティーが誰の家で行われ、何日だったかも思い出せない。
◇国家的に不名誉
暴行がなかったと証明する義務はカバノー氏側にはない。なかったことは証明できない。アメリカ合衆国では、有罪が立証されるまでは、無実が推定される。しかし、合衆国上院は、そうではないようだ。公聴会でカバノー氏は推定無罪に相当するかと聞かれたシューマー民主党上院院内総務は、「指名を受けており、無実の推定はない。でなければ有罪だ」と述べた。これはアメリカ式でない。
カバノー氏は「承認手続きが、国家的に不名誉な出来事となってしまった」と訴えたが、その通りだ。「憲法は上院に承認手続きで重要な役割を担わせている。ところが、助言と同意が、捜査と破壊にすり替えられた。7月の指名以降、左派は錯乱状態になっていた。私の指名承認を阻止しようと必死だった」とカバノー氏は主張した。
また、自身を「悪」と呼んだブッカー上院議員ら民主党司法委員を名指しし、訴えに根拠はないと非難した。その上で「言葉は重要だ」と指摘、「数多くの米国人があなた方の発言に耳を傾けている。このような発言のせいで、さまざまなことが起きている。家族が危害を加えると脅されたり、妻に乱暴なメールが送られたり、私や友人についていろいろなことが言われたりしてきた。私を怒らせ、引きずり降ろすためだ」と述べた。
カバノー氏は、この10日間に見たものはまるで「サーカス」だと言う。これは、カバノー氏にとっても、フォード氏にとっても悲劇だ。共和党のグラハム上院議員は、カバノー氏は「まさに犠牲者だ」と述べた。これは、民主主義にとって悲劇だ。カバノー氏への激しい個人攻撃を見れば、民主支持であっても、共和支持であっても、善良な人々は、社会に奉仕することへの呼び掛けに対して迷いを感じるようになる。カバノー氏は、「この国全体がこの混乱の報いを受けるのではないかと懸念している」と言った。
◇具体的証拠なし
民主党は、カバノー氏からの非難に意表を突かれ、具体的な証拠もなく、高校のイヤーブックに記された嘔吐(おうと)について質問する程度のことしかできなかった。世界一の審議機関でこんなことしかできないとはどういうことだろう。民主党は連邦捜査局(FBI)の捜査を求めたが、その狙いは、事実を究明することではなく、とにかくカバノー氏承認を阻止することだ。フォード氏の主張を検討する委員会を設置するなら、1カ月以上前にできたはずだ。
グラハム氏がカバノー氏に、民主党のファインスタイン上院議員に8月20日に会った時に、その20日前にフォード氏の訴えについて知らされ、弁護士を紹介したことを知ったのかどうかと質問すると、公聴会室に動揺が走った。グラハム氏は、重要なのは、民主党が、偽の被害者がぞろぞろと出てくることを期待して、この問題を引き延ばしただけなのかどうかだと指摘した。民主党は中間選挙までの時間稼ぎをしようとしており、上院を奪還し、トランプ氏指名の最高裁判事指名を阻止することを望んでいる。グラハム氏はその中で民主党は「この人物の人生を破壊」しようとしていると糾弾した。
カバノー氏は「名誉を取り戻すことはない」と述べ、承認されてもされなくても、すでに人生は破壊されたと主張した。「私の人生は永遠に、完全に変えられた」と訴えた。米国の民主主義が恒久的に変化したのかどうかは、上院が、この中傷キャンペーンを拒否し、カバノー氏を承認するかどうかにかかっている。すぐに答えは出る。