中国がサンプル共有を拒否、専門家は以前から出現予測

ビル・ガーツ

ビル・ガーツ氏

 新型コロナウイルスは、17年前に中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を引き起こしたウイルスによく似ているが、これは驚くようなことではない。米テキサス大学医学部ガルベストン校「新興ウイルス・アルボウイルス世界レファレンスセンター」のケネス・プランテ副所長が指摘した。

 新型コロナはSARSに似ていることから、専門家の間で「SARS―CoV―2」と呼ばれている。プランテ氏は「このウイルスは興味深いことに、兄弟である元のSARSコロナウイルスによく似ている」と指摘した。

 また、「一部では、数年前からこのウイルスが出現するという仮説が立てられていた。とうとう、予想されていたような形で出現した」と述べ、専門家の間では、今回のような新型コロナの出現が予測されていたことを明らかにした。

 新型コロナは、突然変異によってコウモリから中間宿主となる動物、人間へと感染、さらに人から人へと感染し、爆発的な感染を引き起こしたとみられている。

 新型コロナの最初のサンプルは、米疾病管理予防センター(CDC)がワシントン州の患者から入手し、2月6日にテキサス州のセンターに送られた。

 当初は、中国の武漢ウイルス研究所から、サンプルを入手する予定で、研究所も引き渡しに同意していたという。サンプルがあれば、発生源についての調査にも役立つ。

 しかし、協議を重ねた結果、「中国から持ち出すことは難しくなった」という。政治的環境と規制のためだと同氏は指摘した。

 一方、プランテ氏は「新型コロナはコウモリと深く結び付いた動物由来のウイルス」と強調し、武漢の研究所から流出したという説には否定的だ。

 プランテ氏は「研究所から流出したという証拠はない。想定されていた場所から出現しており、動物原性感染症のウイルスを持った動物と人が、海鮮市場のような所で接触したことが主要な感染源だ」との見方を明らかにした。