中国 西部で軍事施設を拡充


交通インフラを整備・強化 米シンクタンク報告

 

 中国は、核戦力、海軍力など軍備増強を進める一方で、西部国境沿いで軍用飛行場、道路、鉄道など交通インフラの整備を急ピッチで進めている。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の最新報告から明らかになった。軍の兵員、装備の迅速な移動を可能にすることでインドとの国境紛争に備えるとともに、大規模経済圏構想「一帯一路」のための流通網拡充、両自治区での統治の強化が狙いとみられている。

 「チャイナパワー・プロジェクト」の報告によると中国は、新疆ウイグル自治区、チベット自治区の西部国境沿いで、飛行場、ヘリポートの建設、改修を数十カ所で進めている。さらに「道路、鉄道などのインフラを整えており、人民解放軍(PLA)の補給能力を向上させ、兵員、兵器、装備の素早い移動を可能にし、航空戦力を補完する」狙いがあるものと指摘している。

 衛星写真などの分析によると、17年以降、37の飛行場とヘリポートが建設、拡充されている。そのうち、少なくとも22カ所は「軍用または軍民両用」。20年に整備のペースは速められ、同年だけで、七つの航空施設の建設、七つの航空施設の拡充が開始されたという。

 中国では、新疆ウイグルと国境を接するインドと、2017年と20年に係争地をめぐって衝突が発生しており、その後、この地域の開発ペースは加速したと報告は指摘している。

 新疆ウイグルは、一帯一路の推進で重要な位置を占め、中国は隣国タジキスタン、アフガニスタン、カザフスタンとの安全保障協力を強化、治安の安定に協力している。報告は、隣国の不安定化が、中国国内に影響を及ばないようにするためのものだと指摘している。中国政府は、チベット、ウイグル族の同化政策を進めており、両自治区内での「分離主義」にも神経をとがらせている。

 鉄道網、道路網の整備も進められているが、これは両自治区の社会的、経済的な中国化を推進するため、さらに軍の自治区内の移動をスムーズに行えるようにするためだ。

 チベットの幹線道路は15年から20年の間に、7840キロから1万1820キロへと51%増加。これは、他のどの省、都市よりも速いペースだという。新疆ウイグルでも同期間に1万7830キロから2万920キロへと増加した。

 新疆ウイグルでは鉄道網の整備も急ピッチで進められ、報告によると、15年の5900キロから20年には7800キロへと増加している。