米軍撤収で中国がテロ標的に、アフガンは「帝国の墓場」
デービッド・スティルウェル前米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、中国は米国が巨額の予算を投じてアフガニスタンに軍を駐留させ、安全を維持してきたことから利益を得てきたが、米軍が撤収を開始した今、西部国境の向こうにイスラム政権という敵対的勢力を抱えることになったと指摘した。その上で、バイデン政権は、この問題への対処に中国に手を貸すことのないよう警告した。
大使館付き武官でもあったスティルウェル氏は、米兵が完全撤収すれば、中国の当局者、実業家らのアフガンでの存在感はさらに強まると指摘、そうなれば、過激派組織アルカイダなどによる中国へのテロ攻撃が始まると主張した。
中国政府は、長期にわたって、こつこつとアフガンとの経済関係を築き上げてきた。イスラム主義組織タリバンによる新たな政権にも支持を表明している。
トランプ政権で国務次官補として働いたスティルウェル氏は、中国人民解放軍(PLA)将校が、トランプ氏は「帝国主義者」であり、アフガンを米国の植民地にしたと非難していたことを明らかにした。
これに対しスティルウェル氏は、米国はもっと早く、アフガンから撤収すべきだったという点では同意見だとこの将校に伝えたという。だが「(米国などが去った後の)帝国の墓場での、この将校とPLA同胞らの幸運を祈った。この将校は表向きは、自信満々で、米国は撤収すべきだと思っていると言ったが、その後、私を脇に連れ出し、すぐには撤収しないでほしいと話した」と述べた。
中国政府は、アフガン駐留米兵が中国人や中国人実業家を保護する一方で、アフガン政権を樹立するために莫大(ばくだい)な経済的、政治的コストを負ったことに満足している。
スティルウェル氏は、「米国は、(アフガンで中国に何があっても)PLAに自力で対処させるべきであり、『協力』すべきでない」とバイデン政権にくぎを刺した。