上昇気流
正岡子規の夏を詠む句に<炎天の色やあく迄…
正岡子規の夏を詠む句に<炎天の色やあく迄深緑>がある。8月の別名の葉月は、木々や植物が満ち育ち、葉を落とす月、葉落ち月が略されたのが謂(い)われともいう。木々に茂る葉の深緑が美しく、猛暑の夏も木陰だけはしのげる空間をつ…
「資源がそれほど減ったという認識はない…
「資源がそれほど減ったという認識はない。縛りは受けたくないし、必要もない」――。8カ国・地域が参加して今月半ばに開かれた「北太平洋漁業委員会」で中国代表。 2016年のサンマの漁獲量が約6万㌧と、12年の30倍に急拡…
「梅漬の紅は日本の色なりし」(粟津松彩子)…
「梅漬の紅は日本の色なりし」(粟津松彩子)。「~王子」や「~男子」という言葉の一つに「弁当男子」がある。 これは自分で弁当を作って会社に持っていく男性のこと。話題になりだしたのは2008年末ごろかららしい。趣味で料理…
カンボジアのアンコール遺跡は、独自の…
カンボジアのアンコール遺跡は、独自のヒンズー教・仏教文化を築いたクメール王朝の遺跡群である。2004年に世界文化遺産に登録され、世界から多くの人が訪れるが、その前史として1992年に「世界危機遺産」に登録されていた。 …
オニヤンマの季節。高速で飛んでいるのを…
オニヤンマの季節。高速で飛んでいるのを見掛けることもあるし、止まって休んでいるのを目にすることもある。その姿と形が強い印象を残す。 「ヤンマとぶ伊豆南端の尾根の上」という句がある。飯田龍太(2007年没)の作だ。明瞭…
平成とはどのような時代なのか。東京都写真…
平成とはどのような時代なのか。東京都写真美術館ではこのテーマをめぐって毎年、春期、夏期、秋期と3期にわたって、収蔵品の中から、それぞれ別の視点から作品を選んで展示する。 夏期の展覧会は作家と被写体の関係に着目したもの…
福島第1原発3号機の核燃料を納めていた…
福島第1原発3号機の核燃料を納めていた圧力容器の下部に、溶融物が垂れて固まったような物体のあることが水中ロボットによって確認された。東京電力は、炉心溶融(メルトダウン)で溶け落ちた核燃料(デブリ)が含まれている可能性が…
「これが偏向報道の実態である」(16日付)…
「これが偏向報道の実態である」(16日付)、「これぞまさに『フェイク(偽装)ニュース』だ」(20日付)。学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐる10日の衆参両院の閉会中審査を報じた朝日や毎日などの記事に対する小紙…
20年以上も前になるが、体育館や図書館など…
20年以上も前になるが、体育館や図書館などの公共施設いわゆる箱物が全国各地にどんどん建っていた頃。その印象について、ある地方の老婦人に話すと「私は図書館より、近くに八百屋さんが1軒できる方がよいですよ」と返されたのを憶…
「日の出より蝉鳴くまでの読書かな」(広瀬…
「日の出より蝉鳴くまでの読書かな」(広瀬美津穂)。暑い日が続くにもかかわらず、なかなかセミの声を耳にしないと思っていたら、ようやく先日の朝方聞こえてきた。それも、ミンミンゼミだったので驚いた。 その年初めて聞くセミの…
ミステリーの女王、アガサ・クリスティーは…
ミステリーの女王、アガサ・クリスティーは、第2次大戦中も長編小説を年2回のペースで書き続けた。クリスティー自身の作家としての信条と力量があったことが第一だが、読者の側の需要も大きかった。 大戦中、ロンドンはドイツ軍の…
項羽を倒して漢帝国の創始者となった劉邦は…
項羽を倒して漢帝国の創始者となった劉邦は、ある日家臣らに対して「自分はなぜ天下を得たか?」と問い掛けた。家臣らはそれぞれ回答したが劉邦は満足せず、自身で答えた。 「自分は作戦の才については張良に及ばない。国家の運営に…
「滝へゆく細き山みち山道の折れ曲る処百合の…
「滝へゆく細き山みち山道の折れ曲る処百合のはなさく」(木下利玄)。作者が滝へ行く山道で見つけたユリは、ヤマユリかササユリだったのだろう。自生のままで気品があって美しい夏の花だ。 万葉集でもユリを詠んだ歌は10首に上る…
100歳を超えても現役の医師を続け、長寿日本…
100歳を超えても現役の医師を続け、長寿日本を象徴した日野原重明さんが亡くなった。105歳、延命措置は本人が望まなかった。日野原さんが日本そして世界の人々に残したものは数多いが、何よりその生きざまが感動と勇気を与えてく…
わが国で雨量が多いのは梅雨と台風の時期で…
わが国で雨量が多いのは梅雨と台風の時期で、豪雨災害もその期間に集中している。都市では1時間の雨量が50㍉になれば浸水被害が起きる可能性が高いが、最近は全国でそれを超える大雨が頻発した。 九州北部豪雨で甚大な被害が出た…
「日傘さす音のパチンと空へ逃ぐ」(高浜年尾)…
「日傘さす音のパチンと空へ逃ぐ」(高浜年尾)。蒸し暑い日が続き、外を歩いていると日差しで肌が痛いほど。日傘を差す女性の姿も見掛けるようになった。 気流子の子供時代は、夏といえば夏休みが待ち遠しかった。休みに入ると、カ…
米国のオレゴン州で、同性婚カップルの…
米国のオレゴン州で、同性婚カップルのウエディングケーキ作りを、宗教的信条から断ったケーキ職人が、13万5000㌦(約1500万円)の罰金を科せられたのは、2015年のこと。こんな理不尽なことが米国でまかり通っているのか…
最近、「プロスポーツ選手の人生設計」と…
最近、「プロスポーツ選手の人生設計」というテーマが話題に上るようになった。昔は「プレーが全て。引退後のことを考えるのはとんでもない」との通念があった。 しかし、スポーツ選手の現役期間は、作家、画家、音楽家、芸能人とい…
東京・上野の不忍池でハスの開花が始まって…
東京・上野の不忍池でハスの開花が始まっている。早朝の風が爽やかな時間に花が開くのである。池はおびただしい数の大きな葉で覆われて、その間に薄紅色のつぼみや花が点在している。 江戸時代中期にはここで観蓮会が開かれ、儒学者…
吉田清治氏(故人)といえば、戦時中に韓国の…
吉田清治氏(故人)といえば、戦時中に韓国の済州島で女性を慰安婦にするため暴力で無理やり連れ出したという偽の証言を国内外に広め、1983年に韓国内に「謝罪碑」まで建てた人物。 その謝罪碑を無断で書き換えたとして、先月韓…
<ダァダアーン! というバースト音が耳を…
<ダァダアーン! というバースト音が耳を劈(つんざ)いた。ハンドルを握っていた娘が悲鳴を上げ、私は、「なんだ、これは」と叫びながらも同時に散弾のようにつぶてがわが車に襲いきた。> 大事なく幸いであったが、作家の佐伯泰…
AI(人工知能)が時の言葉となって、それ…
AI(人工知能)が時の言葉となって、それ相当の時間が経(た)った。現在、AIが広く利用されている分野の一つに囲碁や将棋の世界がある。この間、名だたる棋士らはAIに負けたが屈せず、特に若手は研究熱心だ。 前人未到の29…
「山裾を白雲わたる青田かな」(高浜虚子)…
「山裾を白雲わたる青田かな」(高浜虚子)。郊外へ向かう電車から窓の外を眺めていると、都会の無機質な風景の中に木々の姿や季節の花が咲いているのを見掛ける。春は桜、そして今ごろは家と家との間の所々にある青田である。青田はふ…