上昇気流 rss

「つれづれなるままに」が『徒然草』の冒頭…

 「つれづれなるままに」が『徒然草』の冒頭部分だ。これは「序段」で、その次が「第1段」。第243段まで続く。「つれづれ」が問題だ。通常は「退屈」と訳される。辞書にもそう書いてある。それで間違いはないのだが、それでは不十分…

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今年はドイツの宗教社会学者マックス・…

 今年はドイツの宗教社会学者マックス・ウェーバーの没後100年。6月14日が命日で、これを記念する出版物も刊行されている。ジャーナリズムでも引用されることの多い人物だ。  神々の闘争、正当性、カリスマなど、彼の名と共に語…

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米国ミネソタ州で黒人男性が白人警察官の…

 米国ミネソタ州で黒人男性が白人警察官の拘束中に死亡したことに抗議するデモが全米140以上の都市に広がり、一部が暴徒化して収束が見えない。トランプ大統領は、暴動を「国内テロ活動」と厳しく非難。各州知事に州兵による鎮圧を求…

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中国の全国人民代表大会が「国家安全法」を…

 中国の全国人民代表大会が「国家安全法」を香港に導入する方針を決定したことに対する新聞論調などから。「断じて容認できない」と拳を振り上げたのは産経(29日付)と朝日(27日付)。読売(29日付)は「中国の動きは到底容認で…

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薫風の候5月から向暑の候6月に変わった。…

 薫風の候5月から向暑の候6月に変わった。昨年の今頃は暑い日が続き、熱中症への警告が盛んに出て閉口したが、梅雨のじめじめ感は意外になかった。今年は新型コロナウイルス対策もしっかりし、盛夏に向け活力を高めることが必要だ。 …

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「万霊の天より圧す梅雨入りかな」(目迫秩父)…

 「万霊の天より圧す梅雨入りかな」(目迫秩父)。あすから6月になる。6月というと、すぐに連想するのは「梅雨」で、じめじめと降り続く雨のイメージ。  しかし、うっとうしいと思うのは人間側の事情で、自然万物がすくすくと育つ大…

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中国の全国人民代表大会(全人代)で、香港…

 中国の全国人民代表大会(全人代)で、香港での言論や集会の自由を奪う「国家安全法」の導入方針が採択された。香港の高度な自治を認める「一国二制度」を崩壊させる暴挙だ。国際公約をいとも簡単に踏みにじった代償は小さくないだろう…

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10年近く前、岩手県議の男性が病院内で番号で…

 10年近く前、岩手県議の男性が病院内で番号で呼ばれたことに激しく抗議した後、自殺するという事件があった。男性は自身のブログに「ここは刑務所か」「会計をすっぽかして帰った」などと書いて批判を受けていた。番号へのこだわりが…

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「男体山に真向かいて歩きせつに思う老いて…

 「男体山に真向かいて歩きせつに思う老いて輝く人になりたしと」。国文学者で作家、エッセイストの中里富美雄さんは、今年の5月で満100歳を迎えた。その記念としてまとめた歌集が『百壽讃歌』(渓声出版)だ。  引用した歌は、別…

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「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)う…

 「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という。今「彼」を新型コロナウイルスに置き換えると、彼の実相はなかなか明らかにならず、知り尽くしたとは言えない。  山中伸弥・京大iPS細胞研究所所長は、月刊誌「文藝春秋」6…

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5月への讃辞(さんじ)から。清少納言は…

 5月への讃辞(さんじ)から。清少納言は<節(せち)は、五月にしく月はなし。菖蒲(さうぶ)、蓬(よもぎ)などのかほりあひたる……>(枕草子36段)と五節句の最良月に挙げた。  歌人、与謝野晶子はその詩「五月礼讃」で<五月…

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黒川弘務東京高検検事長が、緊急事態宣言…

 黒川弘務東京高検検事長が、緊急事態宣言発令下の1日と13日に新聞記者らと賭けマージャンを行ったことを認めて辞任した。  検察は行政機関であり、政府が検察幹部の人事を決することは何の問題もない。ただ多くの企業や個人事業主…

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新型コロナウイルスの感染終息を願って、…

 新型コロナウイルスの感染終息を願って、全国各地の神社で、それまで途絶えていた神事などが復活している話を聞く。  例えば、山形県鶴岡市の羽黒山蜂子(はちこ)神社では、神職と山伏によって早期終息を祈願する神事が行われ、福島…

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4月7日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言…

 4月7日に新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されてから46日になる。この頃に萌え出した緑もだいぶ濃くなってきた。1カ月ほど前に見た緑地のタンポポも綿毛となり、紫陽花の黄緑色のつぼみも形を整え、色づく時を待っている。…

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柳田国男著『遠野物語』(30話)に「3尺の…

 柳田国男著『遠野物語』(30話)に「3尺の草履」の話が載っている。ある日早池峰(はやちね)山に登った村の男が、大いびきをかいて寝ている大男を発見した。男の近くには大きな草履が脱ぎ捨ててあって、大きさは3尺ほどもあった。…

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山開きのシーズンがやって来た。例年だと…

 山開きのシーズンがやって来た。例年だと群馬、福島、新潟、栃木の4県にまたがる尾瀬国立公園でも各登山口で山開き行事が行われ、残雪の状態やミズバショウの開花について話題になる。  だが、今年は違っている。新型コロナウイルス…

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西欧をたびたび襲ったペストなど、疫病の…

 西欧をたびたび襲ったペストなど、疫病の大流行はその後の社会を大きく変えてきた。日本では天平時代の735年から737年にかけての天然痘の大流行がそうである。  九州北部で発生した疫病は平城京にも持ち込まれ、全国に広がり、…

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池波正太郎の時代小説には、季節の自然を…

 池波正太郎の時代小説には、季節の自然をさりげなく描写する場面があり、それでいてピタリとはまっている。初夏の午後をつづった一節が『編笠十兵衛』(下・新潮文庫)にある。  「杉、松、椎(しい)、樟(くすのき)などの常盤木(…

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夏の全国高校野球選手権大会(甲子園球場)…

 夏の全国高校野球選手権大会(甲子園球場)が新型コロナウイルス流行の影響により中止の方向で検討に入った。指導者や選手は残念至極だろうが、中止はやむを得ないところだ。  夏の大会では、3700余校が戦う地方大会も開催されて…

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5月は新緑の匂いを運ぶ風の季節。「風薫る」…

 5月は新緑の匂いを運ぶ風の季節。「風薫る」という俳句の季語がある。都会に住んでいると、若葉の匂いに接することが難しい。それでも、公園や街路樹の新緑に、かすかな匂いを感じたりする。  そんな時、森や林が点在した地方都市に…

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18日から開かれる世界保健機関(WHO)…

 18日から開かれる世界保健機関(WHO)年次総会をめぐり、米中が火花を散らしている。オブザーバー参加を求める台湾を支持する米国とそれを拒否する中国。この問題を見ても、中国がWHOを人類の命と健康を守るための機関としてよ…

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新型コロナウイルスに関わる経済的支援の…

 新型コロナウイルスに関わる経済的支援のための書類が難解で複雑で、中には10枚に及ぶ枚数が必要との話もある。「書類の煩雑さ」は昔も今も変わらない。  『韓非子』(作者韓非子は紀元前234年ごろ没)には、会計報告の書類をめ…

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16世紀にローマに派遣された天正遣欧少年使節…

 16世紀にローマに派遣された天正遣欧少年使節は、日本で最初に洋楽を学んだ少年たちだった。彼らを主題に『クアトロ・ラガッツィ』(集英社)を書いた美術史家の故若桑みどりさんは、音楽のことで疑問を抱いた。  当時の洋楽は、キ…

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