黒川弘務東京高検検事長が、緊急事態宣言…
黒川弘務東京高検検事長が、緊急事態宣言発令下の1日と13日に新聞記者らと賭けマージャンを行ったことを認めて辞任した。
検察は行政機関であり、政府が検察幹部の人事を決することは何の問題もない。ただ多くの企業や個人事業主が新型コロナウイルス禍で資金繰りに四苦八苦している時期に、定年延長につながる検察庁法改正案の審議は容易ではない。
その衆目の中だった黒川氏が、夜を徹するほど賭けマージャンに興じ、記者側が用意したハイヤーで帰宅していたとは驚くばかり。4月にも何回か行っていたという。悪を摘発する側は、自ら襟を正し、身綺麗(みぎれい)でなければ、強大な権限を行使する資格はない。黒川氏への訓告処分は甘過ぎる。
一方、その仕事ぶりを監視するのは国民に代わるマスコミであるのに、黒川氏との賭けマージャンにお伴したのは、産経新聞の記者と朝日新聞の社員。官僚と記者の馴(な)れ合いが白日の下にさらされた。余計なお世話だろうが、当該新聞の部数減は必至だろう。
一昨年、財務省事務次官が、民放テレビ局の女性記者へのセクハラ問題で辞任に追い込まれた。高級官僚の鷹揚(おうよう)さなどというのでなく、自覚の欠如、気の緩み、規律の無さという以外にない。今回も同様だ。
検察と新聞の間に緊張感がなくなると、冤罪(えんざい)の温床にもなりかねないのではないか。黒川氏は十分に釈明もせず、さっさとやめてしまった。貫目が足りない東京高検トップの退任劇だった。