「万霊の天より圧す梅雨入りかな」(目迫秩父)…


 「万霊の天より圧す梅雨入りかな」(目迫秩父)。あすから6月になる。6月というと、すぐに連想するのは「梅雨」で、じめじめと降り続く雨のイメージ。

 しかし、うっとうしいと思うのは人間側の事情で、自然万物がすくすくと育つ大切な季節である。イネなどの植物は豊富な水によって生長していく。秋の豊かな実りをもたらすためには重要な時期だ。

 梅雨が、いつから始まりいつ終わるのかは、その年によって異なっている。関東甲信地方の昨年の梅雨入りは6月7日ごろで、梅雨明けは7月29日ごろだった。「ごろ」という言葉が付くのは、その日を特定できないからである。梅雨入りの場合は、雨がちになった後、ようやく追認するのだろう。その点は、はっきりとした基準がある桜の開花宣言とは違っている。

 始まりと終わりにアイマイさがある。梅雨を彩るアジサイは、花言葉が「移り気」。梅雨のイメージと合う。そのアジサイの花も所々で見掛けるようになった。

 最近、友人からのメールに政府支給の布の「マスクが届いた」とあった。なかなか届かないので気になっていたのだろう。そういえば、気流子もしばらくやきもきしたことを覚えている。

 「六月を奇麗な風の吹くことよ」(正岡子規)。このところ夏日が多くなり、マスクをしていると熱がこもって息苦しいぐらい。密閉、密集、密接の「3密」を避けて、時々外し、熱中症にならないように気を付けたい。