赤旗“パワハラ”勧誘 徳島の鳴門市役所でも管理職30人購読
全国の自治体で、日本共産党の地方議員による党機関紙「しんぶん赤旗」の購読勧誘が相次いで問題となる中、徳島県鳴門市役所でも課長級以上の管理職員少なくとも30人が昇格時に共産党市議から「赤旗」購読を勧められ、やむなく購読している実態が明らかになった。この問題は、12月の定例市議会で取り上げられ、市当局主導の実態調査が求められる見通しだ。
(「しんぶん赤旗」問題取材班)
約50年前から慣例に
12月議会で実態調査要求へ
取材班はこのほど、鳴門市役所を訪れた。市役所の裏口から入ると、横文字で「新聞ボックス」と書かれた集合ポストがあった。市庁舎の1階から3階の各課あるいは各課所属の職員が購読している新聞を1カ所に集めたもので、その多くが「しんぶん赤旗」日曜版だった。市民課、社会福祉課、子どもいきいき課などに計26部が入っていた。教育委員会などの分庁舎でも購読されており、全体では30部を超えるとみられる。
「『赤旗』を購読しているが思想的に全く違うので読まずにまとめて捨てる」というある現職幹部は「課長になった時、共産党の市議がやって来て『前任者も取っていたのでお願いしたい』と言うので日曜版を付き合いで取った。課長になるとみんな取っているようだ」と語る。課長級以上は約70人いるため、購読実数は30部よりさらに増える可能性もある。
最近、部長級で退職し「赤旗購読を10年近く続けた」OBも「主幹、課長、副部長、部長の多くは取っていたと思うので50~60部はあったのではないか」と語った。こうした幹部が購読に至る背景には、単に「前任者もとっていたからやむを得ない」という理由だけではないようだ。
ベテランの元市議は「断るなら議会で厳しい質問をしてやると心理的プレッシャーをかける。弱い者に購読を押し付けている」とパワハラ行為の存在を繰り返し強調した。20年以上前に退職した元市幹部によると「赤旗購読はおよそ50年前から続いている。かつては机の上に配布されていた」という。
「赤旗」の購読料は、共産党財源の主柱だが、仮に1カ月930円の日曜版を毎月30部購読した場合、年間33万4800円の収入となる。平塚保二市議(無所属)は「共産党に反対または支持していない人が共産党へそれだけの政治献金を毎年していることになる。それが約50年も続いてきたのなら問題ではないか」と指摘する。
鳴門市庁舎等管理規則に「新聞配達に関する規定がない」(総務課)のも問題だ。市庁舎の裏口から入ることも、入庁者の許可申請をする義務がないのであれば、誰が入庁したか把握できず、安全上の懸念が生じよう。共産党議員が執務時間中に集金に回っている証言も多かったが、職員の職務専念義務に抵触する行為だ。
このほか、病気休暇を取得中、もしくは病気のため休職している職員の数が10人に上り、そのうち精神的な事由が4人いることと共産党市議がゴミ焼却炉に関して執拗(しつよう)な質問をしたこととの関連を指摘し問題視する関係者もいる。
こうしたことから、平塚市議は「12月の定例市議会総務文教委員会で、市役所が共産党に浸食されている実態を解明するよう市当局に求めていきたい」と語っている。