上昇気流 rss

「老一人いつまで煤の始末かな」(高浜虚子)…

 「老一人いつまで煤の始末かな」(高浜虚子)。新年を迎えるための大掃除も終わり、あすは大みそかだが、気分はまだ落ち着かない。  振り返ってみれば、今年は知人の訃報を聞くことが多かった。年を取るということは、さまざまな面で…

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今年もあと3日。澄んだ冬空を背に黄金色に…

 今年もあと3日。澄んだ冬空を背に黄金色に輝いていたイチョウの木もすっかり葉を落とし、冬支度を完了させた。冬来たりなば春遠からじ。落ち葉もゆくゆくは腐葉土となって、新しい芽吹きのための養分となる。  毎年繰り返されている…

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明治25(1892)年ごろのある日、小説家・…

 明治25(1892)年ごろのある日、小説家・劇作家の坪内逍遥(33歳前後)は、東京・文京区の小説家、森鴎外(30歳前後)邸を訪ねた。原稿の催促のためだった。その後に予定があったので、あくまでもついでの訪問だ。用件が終わ…

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「現代になって、人は表現する対象を失って…

 「現代になって、人は表現する対象を失ってしまった。自然への畏怖や神の姿、いや、美そのものが陳腐化してしまった」。これは美術史学者の河合正朝さんが、2年前に東京都写真美術館で開かれた「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展に寄…

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中小・零細企業の多い東京・大田区で長年…

 中小・零細企業の多い東京・大田区で長年、メッキ工場を経営していた男性(85)に話を聞くと、約50年前はメッキや鋳鍛造などの加工関連の組合に加入していたのは2000社以上もあった。それが現在は100社ほど。稼働しているの…

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米トランプ政権から来年2月末までの猶予期間…

 米トランプ政権から来年2月末までの猶予期間と引き換えに突き付けられた宿題に、中国がクリスマス返上で取り組んでいるようだ。北京で始まった全国人民代表大会(国会)常務委員会で、政府が「外商投資法」の草案を説明した。  昨日…

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ペンシルロケットを製作し、日本の宇宙・…

 ペンシルロケットを製作し、日本の宇宙・ ロケット開発の父と呼ばれる糸川英夫博士(1912~99)は独創の人だったが、「人生で大切なのは、失敗の歴史である」という言葉も残している。試行錯誤の連続だった。  その精神を受け…

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「蕭條(しょうじょう)として石に日の入…

 「蕭條(しょうじょう)として石に日の入枯野かな」(蕪村)。冬というとこの句を思い出す。寒々とした風景に日差しが石に入るように見えるというのだが、その印象鮮明な情景が「蕭條」という漢字で絵画的に表現されている。  漢字の…

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開高健が1976年に発表した「渚にて」という…

 開高健が1976年に発表した「渚にて」という一風変わった短編小説がある。著者らしき語り手が北海道へ釣りに行って出会った風変わりな男の話だ。その男は定職に就かず、町はずれの海岸に打ち上げられた流木や船材などを集め家を建て…

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大阪を代表する「食」はたこ焼きだ。が、…

 大阪を代表する「食」はたこ焼きだ。が、「それでいいのか?」との疑問を持つ人もいる。その一人が井上章一氏(国際日本文化研究センター教授)だ。近刊の『大阪的』(幻冬舎新書)にたこ焼きのエピソードが出てくる。氏は京都生まれ京…

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作家の遠藤周作さんが『沈黙』を書いた時代…

 作家の遠藤周作さんが『沈黙』を書いた時代と違って、今では驚くほどにキリシタン時代についての研究が進展している。それを知ったのは、美術史家の若桑みどりさんが書いた『クアトロ・ラガッツィ』(上・下)による。  今年の秋、静…

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「覇権主義に反対する」「わが国は国際秩序の…

 「覇権主義に反対する」「わが国は国際秩序の擁護者だ」。中国が改革開放政策を開始して40年の記念式典での習近平国家主席の演説である。よく言うよ、と思う。  途上国のインフラ整備に資金を貸し、借金漬けにして、その利権を取り…

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「大丈夫ですか? 救急車を呼びましょうか?」…

 「大丈夫ですか? 救急車を呼びましょうか?」。通り掛かった人から声を掛けられた。冷え込みが少し厳しく感じられた深夜の私鉄駅のエスカレーターで改札階まで上がったところで突然、一歩も動けなくなった。激痛が腰部を襲ったためで…

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異常気象についてのあるシンポジウムで、…

 異常気象についてのあるシンポジウムで、気象庁の気象研究所海洋・地球化学研究部の石井雅男氏が、海洋の観測に関しても50年の歴史があり、海洋酸性化について広い海域をカバーし研究活動していることなどを話していた。  気象庁は…

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「おでん屋のうすぎたなさが性に合ひ」(石田…

 「おでん屋のうすぎたなさが性に合ひ」(石田壮雪)。めっきり寒くなり、風の当たりも強く感じるようになった。北国では大雪の便りも聞く。  こうした時には、熱い飲み物や鍋物が欲しくなる。特に、よく煮えたおでんが食べたくなる。…

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釣り人にとって、カワハギは人気のターゲット…

 釣り人にとって、カワハギは人気のターゲットだ。白身の身そのものも美味(おい)しいが、キモ(肝臓)は酒の肴(さかな)に最高で、釣り人以外にも珍重されている。  カワハギによく似たソウシハギという魚がいるが、こちらは内臓と…

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維新後間もない明治6~7年ごろ、内務省を…

 維新後間もない明治6~7年ごろ、内務省を訪ねた人は、内務卿の大久保利通がいるかいないかすぐに分かったと言われる。大久保がいる時は省内は静まり返っているが、不在の時はどこかなごやかな雰囲気が漂っていたからだ。  トップが…

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東京・四谷にある母校の上智大を久しぶりに…

 東京・四谷にある母校の上智大を久しぶりに訪れた。卒業生たちの小さな会に出席するためだった。正門に至る土手のサクラは異様なほどの巨木に成長して、卒業以来の歳月の長さを感じさせられた。  四十数年ぶりだ。早く着いたので、食…

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エジプト・シナイ半島最南端のシャルムエル…

 エジプト・シナイ半島最南端のシャルムエルシェイクで国連生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)が開催され、同国の環境相らがアフリカの苦境を訴えた。  アフリカ諸国はおしなべて平均年齢が若く、爆発的に増加する人口を…

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中国当局によるウイグル人への虐待、過酷な…

 中国当局によるウイグル人への虐待、過酷な弾圧を「状況は地獄より酷い」と日本ウイグル連盟のトゥール・ムハメット会長は告発する。家族が収容所にいるというアブドラルラフマン・アイシャンさんは、中央アジアでビジネスをしていて身…

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「大空にのび傾ける冬木かな」(高浜虚子)…

 「大空にのび傾ける冬木かな」(高浜虚子)。朝目覚めると、寒さで布団からはみ出ていた肩が冷え切っていた。それでも、日中は暖かな日差しがあるので体調管理が難しい。外に出ると、紅葉した木々は目に鮮やかだが、落ち葉も多い。  …

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外国人労働者の受け入れを拡大する出入国…

 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が成立の見通しとなった。深刻な人手不足に対応するため、これまで認めてこなかった単純労働にも道を開くものだ。熟練した技能を身に付けた外国人は在留期間が無期限となり、家族の…

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秋篠宮殿下の御誕生日に際しての御会見で…

 秋篠宮殿下の御誕生日に際しての御会見で、大嘗祭が話題になった。皇室の儀式の中でも大嘗祭は、天皇にとって一世一代の極めて重要なものとされている。天皇の御即位に関わるさまざまな儀式の中で、大嘗祭は最終段階のものとも言われる…

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