ペンシルロケットを製作し、日本の宇宙・…


 ペンシルロケットを製作し、日本の宇宙・ ロケット開発の父と呼ばれる糸川英夫博士(1912~99)は独創の人だったが、「人生で大切なのは、失敗の歴史である」という言葉も残している。試行錯誤の連続だった。

 その精神を受け継いでいるのが、小惑星の砂粒を史上初めて採取し、地球に持ち帰った探査機「はやぶさ」や後継の「はやぶさ2」のプロジェクトチーム。はやぶさが砂粒を回収した小惑星はイトカワと命名されている。

 英科学誌ネイチャーは、今年話題になった10人を特集し、その1人に、はやぶさ2の計画段階から関わり、現在はミッションマネジャーを務める宇宙航空研究開発機構(JAXA)の吉川真准教授を選んだ。

 記事の中で、吉川さんらのはやぶさ2チームが、はやぶさでの経験を生かし、来年の小惑星りゅうぐうへの着陸・試料採取に挑戦することなどが紹介されている。

 はやぶさのチームを率いたJAXAの川口淳一郎シニアフェローが、最近の講演で「プロジェクトに携わっていた人間たちは『自分たちならできると自信を持っていた』」と話している。はやぶさ2に期待するところは大きい。

 2002年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんは、「ノーベル賞受賞はチームワークのたまもの」と授賞式には共同研究者4人と共に参加、日本人の強さはチームの和だと話した。はやぶさはそれを体現し、今後の日本の宇宙開発の方向を示した。