米国人留学生増やす仕組み構築を
日本の大学にはさまざまな課題がある。その一つは、極めて深刻な問題である、定員割れだ。最も影響しているのは私立大学だ。
現在の日本の大学数は、短期大学を除くと787校である。日本私立学校振興・共催事業団の「平成30年度私立大学・短期大学等入学志願動向」の調査結果によると、現在、210校の私立大学が定員割れをしている。
大学の数が多く、しかも新たに認可も続けながら、進学する人口が減っている。残念ではあるが、大学の数を競争や整理縮小などで減らし、他の大学に集中させないと、定員割れは長く続くだろう。
もう一つの対策は、伝統的な学生のみならず、社会人、定年後の高齢の人々などに、より開かれた大学にすることによって、定員をある程度満たすことができる。
授業料高い米国の大学
本稿で提言したいのは、留学生の数をもっと増やすべきだということだ。真面目に勉強し、日本の社会に貢献したい留学生を増やすことで定員割れの危機を回避することができる。
今年1月に発表された独立行政法人日本学生支援機構が発刊する「平成30年度外国人留学生在籍状況調査結果」によれば、同年の留学生の総数は、29万8980人である。そのうち9423人は日本政府の国費留学生で、3733人は自国政府負担(外国政府派遣留学生)だ。残りの28万5824人は、学生自身(またはその家族、スポンサーなど)が負担する私費留学生だ。
留学生のうち、中国から来た学生は11万4950人で、全体のおよそ38%だ。2位はベトナムの24%。私の母国アメリカからの留学生は13位、2932人で1%にすぎない。
今までは、どちらかと言えば、留学生の多く(韓国と台湾の合計4万人余りを除いて)は、高等教育や生活の水準の低い国から来ていたが、もう一つターゲットとすべきなのは、授業料の高い国の学生たちだ。
アメリカは世界一、大学の授業料が高いとのイメージがある。実態はその通りだ。返済不要な奨学金、州内の住民割引などで安くなるが、それでも連邦政府が保証するローンを組まないと基本的に大学へ行けない。例えば、最も高い4年間の私立大学の場合、昨年度(2018~19年)の1年間の平均授業料と学生寮・食事は、4万8510㌦(約524万円)である。公立の大学はもう少し安いが、日本と比べたらまだまだ高い。
なお、昨今まで、そのローンは低金利であったが、最近では6%になり、返済に苦しむ若者がどんどん増え、大学へ行くことを断念する人や家族が多くなっている。
それに対して、日本の大学の授業料はアメリカなどと比べたら非常に安く、海外の他の大学と比べたら質がいい。なお、日本は安全安心で生活ができる素晴らしい国である。さらに現在は人手不足で、日本語や文化・習慣をある程度マスターし、無事に卒業できれば、アメリカの学生ならほぼ確実に就職はできる。
そこで、日本の大学(そして国、地方自治体、企業)は、もっとアメリカの若者の日本への入学を推進する仕組みを構築すべきだ。
日本の大学にかかる費用は安いが、それでもローンを組まなければならない入学希望者は少なくないであろう。アメリカでも留学のためにローンを提供している銀行はあるが、前述のように利子が高い。そこで日本の銀行が、こうした留学生のためのローンを提供すれば、新しいビジネスチャンスになる。
政府が銀行ローン保証
現在、永住権がなく、しかも留学のために来日している外国人の学生へのローンは、回収できるかどうかの不安がある。これを解消するために、日本政府や育英会がローンの保証をし、夏休みやその他の期間に、アルバイトで一部を返済することや、日本で就職する際に返済金未納の場合、出国か再入国を禁止するなど、さまざまな措置を取ることができる。
いずれにしても、それは仮定の中の仮定の話であって、日本への留学のチャンスを増やすことによって、日米関係の相互理解への貢献、日本の深刻な人手不足の問題の改善、大学の定員割れの問題の解消などのメリットがある。
ただ強調しなければならないのは、人手不足や大学の定員割れのそもそもの問題は、少子化に伴う人口減少である。日本人がこうした問題を直視しなければ抜本的な解決はない。











