ユダヤ人に寛容だったイスラム世界


獨協大学教授 佐藤 唯行

 欧米先進国のキリスト教徒の間でユダヤ人への敵意が薄れた今日、反ユダヤ主義の主戦場は中東・北アフリカのイスラム世界へ移ってしまった。ところが中近世に遡(さかのぼ)れば状況は逆転する。イスラム世界の方がユダヤ人にとり居心地の良い場所だったのだ。600年間にわたり中東を支配したオスマン・トルコ帝国はその代表だ。その厚遇ぶりは15世紀末、スペイン・ポルトガルから16万人のユダヤ人が追放された時、オスマン帝国皇帝バヤジット2世が発した布告からも明らかだ。


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