エルサレムに雪ーイスラエルから
地球だより
イスラエルといえば、砂漠と灼熱(しゃくねつ)の太陽を思い浮かべる人がほとんどだろう。しかし、イスラエルにも冬はある。乾期である5月から10月にかけては、ほとんど雨が降らないが、11月から雨期に入り、所によっては雪も降る。今季はなかなか雨が降らないと思っていたら、1月に入って雨が降り続くようになった。
イスラエルで一番標高が高い北部のヘルモン山には雪が積もり、スキー場がオープンした。コロナ禍で気軽に海外にスキー旅行に行けない人たちが押し寄せた。
とうとうエルサレムにも雪が降り、26日の朝には20センチも積もった。日本のように冬用のタイヤなどはないので、自動的に市内の全ての交通機関はストップした。なんと初めて除雪隊なるものも登場した。
行きつけのコーヒーショップの店主は、その日は休業することもできたが、雪道を1時間以上も歩いて店に向かったという。店に着いたら、ブーツはすっかり水を含んで足が真っ赤に腫れていたそうだ。店内は暖房が利いて暖かいので、ぬれたものを干して乾かした。
そんな雪の日でも、街中を歩いている人がしばしの間、温かいコーヒーと暖かい店内で暖を取り、また雪道を歩いて行ったそうだ。こんな日でも店を開けておいしいコーヒーを提供してくれた店主に感謝の言葉を残して。店主は、その日に来店した客は4人だけだったが、心がとても満たされたと言っていた。
市内は除雪隊の活躍で、夕方には車が走れるようになっていた。(M)