嫌われるバイデン氏と民主党
エルドリッヂ研究所代表、政治学博士 ロバート・D・エルドリッヂ
政権支持率が急速に低下
半数近くが仕事ぶり評価せず
昨年の米大統領選挙からちょうど1年が経(た)った11月上旬、全国紙USAトゥデイとボストン市にあるサフォーク大学が共同に行った世論調査の結果、登録済みの有権者の圧倒的多数が、ジョー・バイデン(民主党大統領)の2期目の出馬を望んでいないことが分かった。不支持率は60%近くに達した。
さらに同調査によれば、2022年の中間選挙に向けて、共和党が民主党を2桁の差を付けてリードしていることが判明している。
不満を募らせる米国民
以前に、筆者は本紙でバイデンや民主党がいかに人気なく、そもそも不正行為をしないと勝てない候補や政党だと主張してきた。だから、今回の世論調査の結果は特にびっくりするものではない。だが、ここまではっきりしているのは、国民は相当不満を持っているということだ。つまり、選挙の時、民主党や民主党寄りの主要メディアは、とにかく「トランプ反対」という主張を繰り返したが、それ以降、何も具体的な政策を打ち出してこなかったことに気付いた。
調査では、興味深い結果や民主党への警告が出ているので、ここで紹介したい。
まず、バイデンに投票した人々の16%を含め、調査対象者の半数近くの46%が、バイデンの大統領としての仕事ぶりは予想以上に悪かったと答えている。無党派層の44%は予想よりも悪い仕事をしていると回答した。
次に、アメリカ人の3分の2近くである64%が、バイデンに24年の2期目に出馬してほしくないと答えている。その中には、民主党員の28%も含まれている。
バイデンが出ない場合、本来なら有力なのは副大統領のカマラ・ハリスだが、彼女はバイデンより不人気で、支持率は28%だ。世論調査では、51%が彼女の仕事ぶりを支持していない。
もし来年の今頃予定されている中間選挙が今日あるとしたら、調査対象者は、46%が共和党の議員候補者に投票すると答えており、民主党の38%を上回っている。この優位性は、下院と上院の両方で共和党が過半数を獲得するということを意味している。
アメリカ人の66%という大多数が、国は間違った方向に向かっていると答え、正しい方向に向かっていると答えたのはわずか20%だった。
また、この世論調査では、バイデンの社会再建法案「Build Back Better Plan」が家族のためになると考えている登録有権者は、4人に1人しかいないことが分かった。つまり、多くの国民は、バイデン政権あるいは議会に対して強い不信をもっている。
ところで、バイデンの支持率は、現代史におけるどの大統領よりも早く沈んでおり、ハリスの支持率は、過去50年間の副大統領の中で最低だ。ハリスの支持率は28%。もう一人将来の大統領候補として注目されている、現在の運輸長官のピーター・ブティジェッジは37%しか支持されていない。つまり民主党の将来のホープは、現在の不人気なバイデンより低い支持率にあえいでいる。
上記の世論調査以外の調査も同様の結果を示している。例えば、ギャラップ社が10月下旬に次のような調査結果を公表した。
バイデンの第3四半期の平均職務支持率は、第2四半期(53%)から8ポイント、第1四半期(56%)から11ポイント低下している。この11ポイントの低下幅は、歴代の大統領の第1四半期から第3四半期の間に記録されたどの数字よりも大きいものだ。
参考までに、過去3人の民主党大統領と比べても、バラク・オバマ(10ポイント)、ビル・クリントン(7ポイント)、ジミー・カーター(9ポイント)の低下幅を上回っている。他の全ての大統領は、第1四半期と第3四半期の間に5ポイント未満の減少、あるいは増加にとどまっている。これはバイデン政権の支持率がいかに急速に低下しているのかを物語っている。
州知事選で共和党勝利
それを象徴するかのように、11月2日に行われた南部バージニア州の知事選で、8年ぶりに共和党の知事候補が当選した。知事だけでなく、副知事、司法長官の全ての選挙区で共和党が勝利し、代議員会の主導権も取り戻した。バージニア州の州議選では共和党は10年以上も勝利していなかったので、共和党の勝利はバイデンと民主党に対する有権者の不満を示す証拠だと多くの人が指摘している。
中間選挙まであと1年。大統領選まであと3年。バイデン政権が無能な政権であることはもう既に明らかになっている。
(敬称略)