米のシリア撤退、支持の専門家も


 トランプ米大統領のシリア撤退が強い逆風にさらされる中、ハーバード大学のスティーブン・ウォルト教授ら「現実主義」外交支持者は、米国がシリアへの関与を弱め、地域内の各国・勢力に事態の収拾を任せる「現実的」な政策へ転換したことに支持を表明した。

 ウォルト氏は、米軍撤退によってアサド政権が内戦の勝者になるとした上で、「やり方は最悪だが、方向は正しい」と、撤退に支持を表明。アサド大統領は戦争犯罪人であり、「裁かれるべき人物」とする一方で、「アサド政権がシリア全域の支配を取り戻すことで、多くの問題が解決する」と、米軍撤退が現状では最良の選択との見方を示した。

 アサド政権がシリア北部を支配することで、「クルド人勢力をめぐるトルコの懸念は緩和され、『イスラム国』(IS)はアサド政権の問題になる」というのがその理由だ。

 また、ロシアとイランがシリアで影響力を増すと懸念されていることについては、「アサド政権が安定すれば、ロシアとイランの支援はそれほど必要なくなる」と楽観的な見方を示した。ケイトー研究所のテッド・ギャレン・カーペンター上級研究員も「トランプ氏の政策には全く一貫性がない」と苦言を呈した上で、シリア撤退は「適切であるばかりか、遅すぎたほどだ」と一定の評価を下した。