【社説】G7首脳会合対露包 囲網で孤立化させよ
先進7カ国(G7)がブリュッセルで開かれた緊急首脳会合で、ロシアによるウクライナの「軍事侵略」を非難する共同声明を採択した。
西側諸国は結束して対露包囲網を構築し、ロシアを孤立化させる必要がある。
西側諸国が結束示す
会合には岸田文雄首相、バイデン米大統領らG7首脳全員が対面で参加し、ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで出席。共同声明では「プーチン大統領らの責任を追及する」と名指しで強く糾弾するとともに「戦争犯罪の証拠収集」を支援すると明記。中国を念頭に、ロシアに侵略を継続するための支援を行わないよう警告した。
ロシアがウクライナの主権と領土を侵害し、多くの民間人を虐殺することは決して許されない暴挙である。プーチン政権は国際法を踏みにじる一方、国内では反戦機運を抑え込むため情報統制を徹底強化し、ロシア軍に関する「偽情報」を広めた場合に最長で禁錮15年の刑を科す法律を成立させた。
今回、西側諸国はG7と共に北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の首脳会合を開催した。対露包囲網構築に向け、自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的価値観を共有する西側が結束を示したことを支持したい。
侵略から1カ月が経過した。英国防省は「ウクライナ側の反撃でキエフ東方35㌔まで幾つかの町を奪還した」と分析。首都キエフの北西でも、ロシア軍を押し戻そうと攻勢を掛ける可能性があると予測している。
ウクライナ軍の頑強な抵抗で出口を見いだせなくなったロシア軍が、化学兵器の使用まで攻撃をエスカレートさせる事態も危惧されている。これ以上、蛮行を重ねることがあってはならない。
プーチン氏にはウクライナのNATO加盟を阻止し、NATOの東方拡大を防ぐ狙いがあるのだろう。しかしウクライナは主権国家であり、自国の安全保障体制を選ぶ権利がある。ウクライナを属国のように扱うべきではない。
戦争を継続しても西側による対露制裁が強化され、ロシア国民が苦しむだけである。プーチン氏は一日も早くウクライナの主権侵害をやめ、ロシア軍の撤退を決断しなければならない。
もう一つ懸念されるのは、中国の動向である。G7首脳声明では「全ての国」に侵略を継続させる支援を行わないよう求めると表明した。中国が軍事支援や制裁の迂回(うかい)などを通じてロシアに協力することがないよう、名指しを避けつつ、くぎを刺した形だ。
中国は穴を開けるな
ロシアと共に国連安全保障理事会の常任理事国である中国は先月末、ウクライナ侵攻を非難し、ロシアの即時撤退を求める決議の採決を棄権するなど、ロシアに同調し、国際平和を維持する責任を放棄する動きを見せている。
北京冬季五輪開幕の際、プーチン氏は中国の習近平国家主席と首脳会談を行い、中露両国はNATO拡大に反対する立場を表明した。中国が対露包囲網に穴をあけることは許されない。