中国が新たなICBM格納施設
核弾頭 最大4000発保有も
中国が最新の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」を100発以上格納できるとみられる施設を北部の内モンゴル自治区に建設していることが、米空軍大学の分析から明らかになった。6月、7月と大規模なICBM格納施設が発見されたばかりで、米軍は中国の核抑止戦略に変化があったとみて、警戒を強めている。
空軍大学の中国航空宇宙研究所が12日に公表した報告によると、新たな格納施設とみられる施設が見つかったのは、内モンゴル自治区オルドス市ハンギン旗付近の砂漠地帯。衛星写真の分析から建設は初期段階だという。
米当局者によると、3カ所のミサイル基地を合わせると、350~400発ものICBMを格納できる。東風41は10発の個別誘導可能な核弾頭を搭載でき、ICBMだけで、中国の核弾頭運搬能力は最大4000発に達することになる。
米国が現在、保有する核弾頭は3800発だが、配備されているのは新戦略兵器削減条約(新START)などによる制限でその3分の1にすぎない。
米国は昨年の報告で、中国が保有する核弾頭の数を「200発程度」としており、数年で倍加するとの見通しを示していた。
米戦略軍のリチャード司令官は12日、中国の核戦力増強について「爆発的」「戦略的ブレイクアウト(急増)」と指摘、中国が従来取ってきた「最低限の核抑止力」から、核戦略を転換した可能性があると強調した。
その上で、中国に対抗するために、核戦力の近代化を進めるとともに、新たな抑止力の概念が必要だと指摘、「これまでのやり方では通用しない」と危機感をあらわにしている。
ブリンケン国務長官も6日、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議で、中国の核兵器の急激な増強について、「数十年来の最低限の抑止力をベースとした核戦力から大幅に逸脱」しており、「深く懸念している」と述べていた。
国防総省のカービー報道官は9日、米国の同盟国、パートナー国と協力し、中国の核の脅威に対処するための「統合抑止力」の構築に取り組んでいると述べた。
リチャード氏によると、統合抑止力の定義は明確になっていないが、今後発表される「核態勢の見直し(NPR)」に盛り込まれるという。
(ワシントン・タイムズ特約)