米軍の戦闘能力低下に警告―元海兵隊少将


官僚組織肥大化で効率悪化

 米軍の兵員が減少する一方、国防総省の官僚組織は肥大化するばかりで、制御が利かなくなっている-米海兵隊の元少将、アーノルド・プナロ氏はこう指摘し、兵力の縮小と組織の非効率化によって米軍の戦闘能力が削(そ)がれていると警鐘を鳴らした。

 現在、国防産業協会(NDIA)の会長を務めるプナロ氏は29日、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)で講演し、「国防予算はレーガン政権での増強のピーク時よりも多いが、防衛力は縮小し続けている」と危機感をあらわにした。

 米軍は1980年代の増強時から大幅に削減され、人員は100万人、主要戦闘部隊は35~40%減少した。プナロ氏によると、2001年の同時多発テロ以後だけでも、10万人以上減少したが、国防総省内の民間人職員は13万6000人増加したという。

 プナロ氏は、米国は何千億㌦もの予算を国防に投じているが、中国の方が、米軍より「投入した分以上の成果」を挙げていると、米軍の効率の悪さを指摘した。「この5年間で中国は105隻の艦艇を建造したが、米国は26隻だった」という。

 また、プナロ氏は、「戦闘機などの兵器の契約から配備まで20年以上がかかっている。以前はわずか5年だったが、今は中国がこのペースで兵器を製造している」と指摘、調達システムがうまく機能しておらず、中国の台頭を許す一因となっていると、改善の必要性を訴えた。

(ワシントン・タイムズ特約)