急進左派の新大統領就任 ペルー
閣僚は発表せず
南米ペルーの国会で28日、急進左派のペドロ・カスティジョ大統領(51)の就任式が行われた。任期は5年。貧困農家出身で、小学校教師だったカスティジョ氏は、「農民出身の大統領がペルーを統治するのは初めてのことだ」と演説し、格差是正や貧困解消などに取り組む姿勢を強調した。 カスティジョ氏は、決選投票でフジモリ元大統領の長女で最大野党「フエルサ・ポプラル」の党首ケイコ・フジモリ氏と対決、得票率差0・25ポイントの激戦を勝ち抜いた。
貧困層と近年の経済発展から取り残されている地方からの圧倒的な支持を背景に、一躍、泡沫候補から大統領の座を手にしたカスティジョ氏だが、新政権を待ち受ける課題は多い。
新型コロナウイルスによる死者は、人口比で世界最大を記録、新規感染者・死者共に高止まりの状況が続いており、医療も逼迫している。ワクチン接種完了率も14%台と低迷しており、今後はワクチン確保が最大の課題だ。
一方、カスティジョ氏は、貧困対策として、近年のペルー経済発展を支えてきた資源産業への課税強化を目指している。同氏は選挙で資源産業の国営化を公約に掲げたが、株価と通貨が暴落、投資家離れを引き起こした。
このため、同氏と所属政党の「ペルー・リブレ」(共産系)は、国営化案を廃止し、投資家保護を約束。しかし、党内の急進派からは投資家に歩み寄りの姿勢を見せるカスティジョ氏を批判する声も上がっているという。
また、通常は大統領就任式で発表される閣僚(名簿)が発表されなかった。党内調整が遅れている可能性も指摘されている。カスティジョ氏の与党は、国会第1党だが過半数を得ておらず、国政経験のないカスティジョ氏の政権運営と政策実行力は未知数だ。
さらに同氏は、フジモリ元大統領当時に制定された現行憲法が「資本家に有利だ」として憲法改正と制憲議会の招集を求めている。
法案は、故意または重過失による虚偽・捏造報道の被害者は損害額の最大5倍の賠償を請求できると規定。訂正報道は、元の報道と同じ大きさ、分量で行うことも盛り込んだ。与党は27日、野党の反対を押し切って国会の文化体育観光委の小委員会で可決した。
与党は「フェイクニュースによる国民の被害救済、公正なメディア環境のための改革」(尹昊重院内代表)と強調し、8月中にも成立させる構えだが、「虚偽・捏造の基準があいまい」などと指摘される。文大統領の側近、〓国元法相のスキャンダルをめぐる過熱報道などにより、文政権支持層を中心に保守系大手メディアへの不信感が根強いことも背景にある。来年3月に大統領選を控え、政権批判報道を抑える狙いではないかと臆測を呼んでいる。
韓国記者協会など報道関係の5団体は28日、連名で法案審議中止を求める声明を発表。29日付の保守系大手紙、朝鮮日報は社説で「(国会を)通過すれば韓国はもはや言論の自由がある国と言えない」と非難した。文政権に近い革新系のハンギョレ新聞も社説で「一方通行のやり方は望ましくない」と与党に注文。京郷新聞は「政権に批判的なメディアは許さないという意味だとの疑念を免れない」と批判した。