欧州に徴兵制復活の動き

 産経新聞(2月2日付)に「欧州徴兵制復活の動き」という特集記事が掲載された。特にこの記事で注目したのが、スウェーデンの動きだ。

 北欧の中立国であるスウェーデンは、2010年に徴兵制を廃止したが、ウクライナ危機以降、バルト海域で軍事演習を繰り返すロシアの軍事的脅威に対抗して、今年1月に復活させた。

 国民皆兵の理念の下、1999年以降に生まれた18歳の男女約10万人からまず1万3千人を選び、適性検査を経て毎年4千人を約11カ月間、兵役に就かせる。

 また、470万全世帯を対象に、戦争に巻き込まれる事態を想定したパンフレットを今年半ばに配布し、備えを呼び掛けるという。

 今回配布されるパンフレットは、第2次世界大戦中の1943年に発行され、冷戦終結まで国民に配布されていたものを、最新版の内容に改定した。

 フランスもマクロン大統領が1月19日、「徴兵制復活」を宣言。経費が5年間で300億ユーロ(約4兆円)に上るが、マクロン大統領は「必要ならば憲法改正する。国家の結束のために必要」だとしている。

 また昨年7月の世論調査でも、国民の約6割が徴兵制復活を支持している。

 翻って、日本の状況はどうかといえば、昨年5月に安倍晋三首相が提起した改憲案(憲法9条2項を残し、新たに3項を設け「自衛隊」を明記する)をめぐって、国会で議論が行われているが、今後の行方は不透明だ。一方、「安倍政権下での憲法改正の議論には参加しない」と発言する一部野党議員もいる。

 国会の状況は、世界の流れと比較して、半周遅れの不毛な状況のような気がしてならない。言い過ぎだろうか。

 私は日本に徴兵制を導入することは非現実的であると思っているが、海を隔てた北朝鮮の核実験・ミサイル発射や、東シナ海での中国の動向を考慮すれば、国会で悠長な議論をしている暇はないと思うのだが。国民も日本を守るという意識が希薄のような気がしてならない。

 私は提案したい。憲法9条に「国民すべてに国防の義務がある」と明記してみてはどうか。読者の見解は如何に。

(濱口和久)