自衛官の60歳定年検討を
防衛省は昨年12月21日、1佐から3曹までの自衛官の定年年齢をそれぞれ1歳ずつ引き上げることを決定。自衛隊法施行令などを改正し、2020年1月以降の実施を目指すとしている。
防衛省は定年年齢引き上げの理由を「装備品の高度化や任務の国際化などに対応できる知見を豊富に備えた人材の有効活用を図る」と説明する。
ここで、本紙読者も含め一般人は自衛官の定年年齢を知らないと思うので、現在の定年年齢を紹介したい。1佐(56歳)、2佐および3佐(55歳)、1尉~1曹(54歳)、2曹および3曹(53歳)となっている。ちなみに将および将補の定年年齢は60歳である。
この年齢を見て、定年が早いと思った人もいれば、自衛隊の精強さを維持するためには妥当な年齢だと思った人もいるだろう。今や「人生100年時代」と言われ、50代という年齢は、自衛官に限らず、知力・体力ともに元気な人が私の周りにもたくさんいる。
今回、1歳ずつ引き上げとなったが、「人材の有効活用を図る」ことを目的としているのであれば、さらに定年年齢引き上げをすべきではないか。実際、退官後に民間企業に再就職しても、自衛官時代の能力や経験を十分に活(い)かせる仕事をしている人はそう多くはない。
一方、都道府県警の警察官や市町村消防の消防官は、階級に関係なく60歳が定年年齢だ。ただし、警察の場合は警視以上の階級になると、58歳ぐらいで退官する場合もある。警察や消防は60歳まで勤務できる体制をつくっている。自衛隊も警察や消防を参考にして、階級に関係なく60歳まで勤務できる体制を研究してみたらどうか。
私が提案する「自衛官60歳定年制度」については、異論がある人もいるだろう。自衛官からも異論が出るかもしれない。だが、少子化が進む中で、自衛官の募集環境が悪化していることを考えれば、自衛官の60歳までの活用は必要不可欠である。60歳定年制度を導入しても、自衛隊の精強さは維持できると私は思う。
(濱口和久)