弱腰外交が韓国を増長
昨年12月に起きた韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊P1哨戒機への火器管制レーダー照射問題は、日本政府が今月21日に「最終見解」を示し、韓国との協議を打ち切った。
これで問題は終息すると思ったが、韓国は新たに24日、海自P3C哨戒機による「低空威嚇飛行」があったとする写真やレーダーの記録を公開して、日本に謝罪を求めてきた。しかし、この写真は海面が写っておらず、韓国が主張する低空飛行(70~80メートル)を証明するものではないことは明らかである。
岩屋毅防衛大臣が「海自哨戒機が韓国海軍駆逐艦に威嚇飛行をする理由はどこにもない」と会見で述べているが、岩屋大臣の発言は常識的な見解であり、いちいち韓国の言い掛かりに対応することは時間の無駄だ。韓国の一連の対応を見ていると、子供が駄々をこねているようにしか見えない。韓国の態度は恥の上塗りをしているようなものだ。
韓国国防省報道官は「韓国が公開したレーダー情報が証拠にならないと思うなら、日本側が相応の資料を示すべきだ」とも述べているが、韓国が主張している高さ、距離を海自哨戒機が飛行していた場合、「数値の表示」がおかしい。また、各国の海軍は同じレーダーを使用しており、韓国の公開したレーダーの記録が捏造(ねつぞう)であることはすぐに分かる(海自OB)。
韓国国防省は今後、同じようなことがあれば、海自哨戒機に対して「攻撃も辞さず」のような勇ましい発言もしているが、「呆(あき)れる」ばかりである。韓国の態度は日本を「仮想敵国」と見なしているのと等しい。
韓国をここまで強気にさせているのは、歴代の日本の政権にも問題がある。韓国に対する弱腰外交のツケが、一気に爆発したともいえるだろう。「和解・癒やし財団」の解散、徴用工訴訟、そして、一連のレーダー照射問題と続く中、日韓の溝を修復するのは並大抵のことでない。修復のためのボールは韓国側にあり、安倍政権は毅然(きぜん)とした態度で韓国と向き合うべきである。
(濱口和久)