正念場迎える安倍外交
日本は厄介な国々に取り囲まれている。ロシア、中国、北朝鮮、韓国。東西冷戦時代、日本にとって安全保障上の最大の脅威はロシア(旧ソ連)だった。冷戦崩壊後は、中国、北朝鮮が日本に対して脅威を与えるような行動を続けてきた。北朝鮮に至っては日本人拉致という国家による誘拐事件まで起こしている。韓国は西側陣営に所属しているということで、日本は韓国から理不尽な行動をされても、お茶を濁すような態度を取り続けてきた。
つい最近まで、日中関係は強気で傍若無人な中国の態度により、日本は押され気味だった。ところが、米中貿易戦争の勃発で、中国が日本に助け舟を求めるような関係になりつつある。だが、油断は禁物だろう。中国は日本に対して「友好」を装いながら、さまざまな工作活動を同時進行で今も続けているからだ。
では韓国はどうか。韓国は今や「反日」カードを前面に出して、一切、日本に対して譲歩もしないし、約束を守らない、過ちを認めようとしない国家になってしまった。その結果、日本人の韓国に対する感情は最悪の状態になっている。
日本は歴史を遡れば、大陸からの脅威に晒(さら)されてきた。飛鳥時代の白村江の戦い敗北後の西国防衛、平安時代の刀伊(とい)の入寇(にゅうこう)、鎌倉時代の元寇(蒙古襲来)、近代に入ってからはロシアの南下政策。
ロシアとは日露戦争を戦った。また、満州国境のノモンハンでの衝突。昭和20(1945)年8月には日ソ中立条約を破ってソ連軍が満州、樺太、千島列島に侵攻し、多くの日本人が犠牲となったことは歴史が示す通りである。
戦後、日本に進駐した占領軍(GHQ)は、日本の台頭を恐れて地政学の研究を禁止したが、世界の主要国は、国家戦略の中心に地政学を昔も今も据えている。
地政学は別名「悪の論理」とも言われている。つまり、各国のリーダーたち(トランプ、プーチン、習近平、金正恩、文在寅など)は人を疑う、裏切り、騙(だま)すことに後ろめたさを感じていないということを理解しておくべきだ。まさに、安倍外交は正念場を迎えている。
(濱口和久)





