パリ・ノートルダム大聖堂大火災 事件性なしと結論
仏日刊紙パリジャンなど複数メディアは、2019年4月15日にパリ・ノートルダム大聖堂の大火災が発生して以来、パリの警察当局が2年以上の調査をした結果、事件性はないと結論付けたと報道した。調査に当たった専門家ら関係者は、火災の再現や聞き取りなどさまざまな調査を行った結果、人為的、計画的に放火が行われた痕跡はなかったと結論付け、16日に公式発表すると伝えられた。
フランスでは、同火災を扱ったジャン=ジャック・アノー監督の映画が製作され、同監督によると「撮影は非常に危険が伴うものだった」とされ、火災現場で天井が身廊(聖堂入り口から祭壇にかけて続くスペース)に落下する場面などが再現された。世界的に歴史的建造物として知られる同大聖堂の大規模火災は、フランス人に衝撃を与えただけでなく、消防士の15時間にわたる命懸けの消火活動が注目され、火災原因に多くの謎があると騒がれた。
パリジャン紙によると、アノー監督の映画は、ハトが鐘の電気ケーブルをつつく間、修復現場の労働者の1人が禁煙にもかかわらず、古くからの梁の屋根を支える通称「森」といわれる天井あたりで喫煙していたこと、さらに、溶接機の使用中に放棄された可燃性液体のボトルに燃え移ったという説などをビジュアル化している。
一方、致命傷を負った大火災の教訓から、フランスでは86の大聖堂を対象に安全性を強化するための改善の「大聖堂計画」も開始されている。特に、すべての地域文化局は、大聖堂の維持のための予算を増やす必要があるとして、21年と22年の2年間で3140万ユーロの予算が計上されたとしている。
(パリ・安倍雅信)