「志位意見」全否定する不破氏 筆坂氏

筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(12)

人を許容しない体質も問題だ田村

OKになったためしがない

 田村 不破前議長や志位委員長に関して何かエピソードは。

 筆坂 宮本顕治時代からそうなのだが、選挙のポスターやビラを作るときに、不破さんがOKして宮本さんのところに持っていくと、大体「ダメ」と言われて帰って来る。これは不破・志位体制になっても一緒。

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対談する田村重信氏(左)と筆坂秀世氏

 僕は政策委員長をやっていて、政策宣伝の責任者もやり、書記局員、常任幹部会委員でもあったが、僕がサインして、まず書記局長の市田(忠義)のところに持っていく。市田はなんでもサインする。それからすぐ志位さんのところに行く。志位さんは若干意見を言ったり、大幅な手直しを入れたりして、志位意見で最後は作り上げる。ところが、不破さんのところに持っていくと、OKになったためしがない。全然ダメだと。

 それで不破さんの側近の副委員長がいて、「筆さん、悪いけど、今から不破さんのところに行ってくれないかな」と言う。「和田宣伝局長に行かせれば良いじゃないか、俺は演説会があるんだから」と言うと、「筆さんじゃないと意見言ってくれないんだよ」というわけだ。しょうがないから高速に乗って行く。

 それで向こうへ行くと晩飯を作って待っていてくれる。「これ全然ダメですか」と聞くと、「全然ダメだね」と言う。「良いところ一つもないですか」と聞くと、「良いとこ一つもないね」と言う。それで早口でペラペラしゃべるからメモしきれなくて「まあいいや」となってね。

 みんなは党本部で待っているわけだ。だって選挙のビラは期間が決まっているので急ぐから。それで不破さんの意見を伝えて作り直し志位さんのところに持っていくと、志位さんは「僕見ない」と言う。全然ダメと言われたから。「分かりました。じゃ、志位さんは見ないと書いて送りますよ」と言ったら「見る」と言った。

 結局、全部ストップ。うるさいんだから。一度、茶色っぽい色のビラを作ったら、不破さんから僕に電話があって、「君、僕は紺と言ったはずだ」と。「聞いてません」と言うと、「言ったはずだ」「聞いてません」とやりとりすると「じゃあもういい」と電話を切った。宣伝局長に「不破さんが茶色じゃなくて紺だと言ってるよ」と言うと、「どうするんですか、もう印刷に入ってますよ」とびっくりするわけ。そんなのどっちでも良い。「紺にしたら票が増えるんかい。行け行け、大丈夫、俺が責任を持つ」と言ってやらせた。

 それと、宮本さんも不破さんも王室が好きでね。エリザベス英女王が来日するとき、宮本さんから国際部に「どういう条件なら(歓迎会に)行けるか調べろ」とご下問があった。やはり行くのはまずいとなったが。不破さんはデンマーク女王夫妻が来日した2004年11月17日の夜、東京・赤坂の迎賓館で開かれた招待夕食会に夫婦で出席した。女王と口をきいたわけでもないのに、不破さんの本には自慢たらたらで「王室外交」と書いてあった。

共産党の名は変えられない

 党名変更については。

 筆坂 田原総一朗なんかは「共産党という名前を変えたら、もっと支持が増える」と言うんだが、変えられないと思う。共産党という政党だから民主集中制という組織原則ができ、そして、党員に献身性と犠牲を払わせることができるわけだ。共産党という名前をなくすことは、民主集中制をなくすということと一緒だ。そうすると、共産党という組織はばらばらになってしまう。

 田村 民主主義を党内に入れたら、志位さんは終わりだ。

 筆坂 共産党はガチャガチャになる。

現在は志位体制というよりも、不破さんが力を持っているわけだ。

 筆坂 やはり不破さんだと思う。国民連合政府の提案は絶対不破さんだと思うよ。不破さんはこういうのが好きなんだ。志位さんは、どちらかというと型通り。型からはみ出して何かを提案するいうことがあまりない人だ。今回、「国民連合政府構想」をぽんと提案したが、今までの提案にないのは、選挙協力。共産党が候補者を降ろすというのは、ある意味大胆な提案だ。こんな提案を考えるのは不破さんだ。間違いない。

 ポスト志位は全然浮かんでこないか。

 筆坂 浮かんでこない。

 田村 不思議だね。こればっかりは。人材不足なのだろうか。

 筆坂 人材不足が大きいと思う。昔だったらもっと東大、京大から新しい人材が入ってきた。それがどんどん減ってきている。パイプが細くなっている。

 田村 それと人を許容しない。ナンバー3の筆坂さんを弾くんだからね。

長時間、ありがとうございました。

(終わり)