日米安保無くして国を守れるか 田村氏

筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(6)

憲法改め軍隊保有が本来の方針 筆坂

 田村 政策の個別の問題だが、日米安保条約を廃棄して自衛隊解体というのが共産党の本来の主張のはずだが、その辺のところはどうか。

田村重信氏

田村重信氏

自衛隊無くせの主張しない

 筆坂 本来は、自衛隊は今の憲法には違反しているから解体するというものだ。しかし、その後憲法9条を改正して、自前の軍隊を持てるようにするというのが、民主連合政府綱領提案の中に入っている。上田耕一郎(元党副委員長)がちゃんとそう説明しているんだ。例えば憲法9条に違反している自衛隊をなくし、次に憲法9条を改正するまで時間がかかる。すると、一時的に空白になる。これは確かに矛盾だと言っている。矛盾だけれども憲法違反の状態はなくさなくてはならないから、憲法9条は改正する。そして、自前の軍隊を持つ。これが共産党の本来の方針だ。

 ところが、共産党は今、それを隠してしまっている。それを隠すために自衛隊は憲法違反だと言いながら、無くせという主張をしなくなってしまった。無くせと言って次に作るとなると憲法9条を変えることに絶対になるからね。軍隊のない独立国なんてないというのが本来の立場なんだ。

 田村 小泉(純一郎)さんと志位さんの問答の中にも、「違憲の軍隊だという認識です」、自衛隊は憲法違反だということを明確に志位さんは言っているからね。

筆坂秀世氏

筆坂秀世氏

 筆坂 だから、いま護憲派で9条守れと志位さんは言うんだが、それは本来の共産党の立場とは違うんだ。本来の共産党の立場は憲法9条改正論であり、自前の軍隊を持つ。そして、非同盟の立場を取る。どこの軍事同盟にも属さないというものだ。

 田村 もともと共産党は反米だからね。日米安保条約は、日本をアメリカの戦争に巻き込む軍事同盟だというのが、60年安保だとずっと言っている。

 筆坂 そう。周辺事態法もそうだし、PKO法も戦争法、戦争法と言ってきたのだから。

 田村 60年安保改定のときも、アメリカの戦争に巻き込む対米従属的な軍事同盟条約に改悪・強化したものだといって批判していた。今、日本の周辺を見たら、北朝鮮が核実験をやるわ、ミサイルをぶっ飛ばすわ。そこでここ10年を見たら、中国とロシアの軍事力の増強は一番ひどいわけだ。そういうのが日本の周りにいる。そういうことを考えたらアメリカと組むしかない。しかし、そのお陰で戦後70年間、平和でいたのは、これは実績だからね。それを無くしどうやって日本を守るのか。

自民の体制に乗ってるだけ

 筆坂 批判だけして、本当に無責任だと思う。共産党が批判しようが、日米安保は無くならないというのはよく知っている。自衛隊が無くならないのはよく知っている。それを認めますと言わないだけの話であって、それを批判して自分たちは「われわれこそは平和の党だ」と言っているだけなんだ。だから、滅茶苦茶無責任だ。

 要するに、自民党の体制に乗っかってるだけ。ある人が、「憲法9条を守ってきたのは間違っても野党じゃない。革新勢力ではないんだ。自民党が守ってきたんだ」と言っていた。これはそうだと思う。だって、憲法9条の解釈なんてね、曲芸みたいな解釈だ。しかし、それでも憲法9条を変えずに、日本の安全保障はちゃんとやらなくてはならない。これを現実的にやってきたのが自民党なんだ。野党は無責任で、「じゃあ、自分たちの対案はどうなんだ」と言われても出せない。今度の参議院選挙で自衛隊即時解体、日米同盟即時廃棄といって共産党はスローガンに掲げなさいよと。それが筋でしょう。でもそんなこと一切言わない。これこそインチキだ。