タガをはめられた沖縄県知事 田村氏

筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(3)

暴力なしの革命はあり得ない 筆坂

幹部会の中などで共産党が政権を握ったら、不破さんとか志位さんが、自分は何々大臣になるとかという話は出たことがあるか。

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対談する筆坂秀世氏(右)と田村重信氏

 筆坂 全くない。本気で政権につけるなんて思っちゃいないから。

 田村 政権についても大臣なんか関係ない、党の方が偉いんだから。中国を見れば分かる。

 筆坂 日本共産党だって、宮本顕治が議席を持っていないときでも彼が一番偉かった。野坂参三でも誰でもなかった。

 田村 共産党に反対したら弾圧される。そういう例がある。隣の中国だって今もあるし旧ソ連にだってあった。共産党が政権をとったら、また民主党みたいになるというふうに考えたらダメだ。それでは大きな誤りを犯す。だって、中国の軍隊は国の軍隊ではなく共産党の軍隊だから。日本共産党は、日米安保もなくす、自衛隊もなくす、と言っても、自分のための軍隊を創るかもしれない。

 筆坂 暴力革命の問題で言えば、革命は本来、暴力革命だ。暴力なしの革命はあり得ない。革マルや中核派なんかが、日本共産党を修正主義と批判しているのはなぜかと言うと「共産党だって議会主義になってしまったではないか。あれでは革命なんかできっこない」という。僕は、田村さんの言うこととずれるかもしれないが、議会を通じた革命なんて言い出した時から革命政党ではなくなっていると思っている。大変革は暴力革命しかあり得ないと思う。

 田村 僕が心配しているのは、沖縄の翁長(雄志)知事のようなケースだ。自分が知事になるために共産党の支持をもらった。僕は翁長さんも側近も良く知っている。「お前、そんなことやってどうするんだ」と側近に言ったが、「いや大丈夫です。普天間の問題だって知事になれば、政策転換を上手にします」と言っていた。言ってたけど、「共産党から支持をもらったら、共産党のタガががっちりとはまるから、そんなこと思ったってできないよ」と予言したが、今はそうなってしまった。共産党がコミットしたら、違う動きをしたいと思ってもそうできなくなる。その例を見ても、大臣を出さなくても共産党がコミットするだけでも大変なんだ。

 例えば、応援してもらって政権につけば、与党の協議が出てくる。与党の協議で了解されなければ政策が進まない。そうすると、共産党の考え方に、しょうがないから乗ろうねということで来ちゃうが、それは危険なことだ。そういう意味で、今度、一緒に(選挙を)やろうというのはかなり危険なところがある。

 筆坂 昔の共産党に比べれば、党員も減ったし、新聞の部数も減ったし、財政力も弱くなっている。けれども、他の政党に比べれば、組織力、資金力がある。沖縄が大田昌秀知事の時代のことだが、社会党、沖縄社会大衆党などと革新共闘会議を作ってやるのだが、みんなカネがない。結局、共産党がカネを出し、ビラも一緒に作ろうということになってくる。組織だって、動員をかけるとなったら本土から大量に行かせるからどうしたって影響力が強くなる。僕も大田が参議院議員に当選して挨拶に来たとき無視してやった。「ふざけんな。カネを出したのは共産党だろう。それなのに社民党から出やがって。無所属で出るなら分かるけど仁義が違うだろう」と。

 田村 それは、当選したから関係ないよとは絶対にいかない。

 筆坂 それはそうだ。

共産と組むと保守が逃げる

 田村 山形の市長選挙も同じ方法をとったわけだ。落選してダメだったが。それと、大阪でダブル選挙があり、維新憎しで共産党と共闘したがダメだった。結局、共産党と組んだらダメなんだ。保守が逃げたらダメ。民主党だって保守から票をもらって勝てた。昔、「しんぶん赤旗」の記者に「君の所の敵は自民党ではないよ、民主党であり社民党だよ」と教えてあげた。革新のパイがあって、それの取り合いなんだよと。今、民主党がへこんだでしょ。そうすると共産党が増える。

 最近やらなくなった世論調査がある。どこの政党が一番嫌いかというものだ。やると、ダントツが共産党なんだよ。最近、マスコミにも共産党寄りがいるからやらない。これだけは嫌いっていうのがあるからこれと組んじゃうとダメとなる。調子に乗って民進党が共産党と一緒にやればどどっと減るよ。1+1=2ではなく、0・5ぐらいになる場合もある。無党派とか保守票が入らない。

(続く)