共産の「暴力」で破防法できた 筆坂氏

筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(7)

国民にもっときちんと説明を 田村

山下書記局長発言は間違い

戦後の暴力革命に関して、政府は3月22日、日本共産党が現在も破壊活動防止法(破防法)の監視対象であるという答弁書を閣議決定した。戦後の共産党の暴力革命についてはどう捉えているか。

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軍事方針を記した『球根栽培法』と拳銃の作り方の教科書

 筆坂 51年綱領というのがある。今、共産党は51年綱領ではなくて51年文書と言い換えているけど、これは完全に暴力革命路線なんだ。共産党は、山下(芳生書記局長)君が「暴力革命なんていうことは過去も現在も未来も一切ない」と語っていたがそんなことはない。戦前は完璧に暴力革命路線。戦後も、51年綱領というのは暴力革命路線そのものだよ。だって、火炎瓶を投げたり、中核自衛隊を作ったり、山村工作隊を作ったり、実際そこに身を投じていった若者がいっぱいいたわけだからね。

軍事方針を記した『球根栽培法』などが党員に配布されたこともあまり知られていない。

 筆坂 共産党は今、「あれは野坂参三とか徳田球一が勝手にやったことだ」と言っている。そんな理屈は通用しない。だって、その野坂があるいは徳田が共産党を代表していたわけだから。しかも野坂はその後も共産党の中央委員会議長にまでなる。だから、「共産党とは関係ない。共産党の一部が勝手にやったこと」と言っても、一部であろうと何であろうと、共産党がやったことは間違いない。しかも、「破防法による監視はけしからん」と言うけれど、何で破防法ができたかだ。共産党がこういうことをやったからできた。だから、破防法を作らせたのは共産党なんだ。

 共産党は自分たちでやって、自分たちで首を絞めているというだけの話なんだ。だから、共産党が破防法で監視対象団体に指定されていると、警察白書では毎年書いている。鈴木貴子議員への答弁書の内容は、何も目新しいことでもない。共産党自身が暴力革命路線だったということを素直に認めて、われわれがやったためにこんな法律が作られましたと率直に認める。そして、「敵の出方論」とかある。共産党の特徴は方針をいつの間にか変えていくが、路線が生きていると言われても仕方がないんだ。

革命できず一度解党すべき

 革命政党を作ってもう九十何年になる。老舗の革命政党で革命できずに九十何年といったら、いっぺん解党すべきだ。

 われわれの時は、入党する人は労働者階級の前衛という誇りを持っていた。厳しい審査で入った。だから、例えば、大学でも共産党に入るには成績が良くないとダメ。職場でもリーダーで人気者でなければダメだった。なぜかというと、若い者を入れていくわけだから、リーダーシップがなければダメだった。いま共産党に入ってくる人たちは、共産党議員のおかげで生活保護を受けることができただとか、公営住宅に入居できたとかね、これは言ってみたら後衛だ。

 田村 なるほどね。

 筆坂 ところが前衛という言い方が、一般国民を後衛のように見なしていると言われるので前衛という規定をなくした。しかし、活字としてはなくしたけれど気分は前衛政党なんだ。雑誌『前衛』ね。これは私がまだ常任幹部会委員の時に、「これだけ『前衛』を残しておくのはおかしい」と言って、じゃあ名前変えようとなり出版局からいろいろ案が出たが良い案がなく「このままにしておこう」となった。正直言ってもう読まれていない。

どのくらいの部数か。

 筆坂 もう少ないだろう。僕らが入った時分は党員なら全員読む。10万、20万の数だっただろう。多分、『前衛』は今、赤字だと思う。1万部出ていたら上等だろう。雑誌はほとんど赤字になってしまった。

 田村 きちんと国民に説明していかないといけないことが他にもある感じがする。例えば教育勅語についても、良いところがあるのに、天皇への忠義だから良くないんだと。それから安重根を義兵闘争の指導者で、テロリストではなく、「韓国では、愛国の義士、民族の誇りとされている」と志位さんが言っている。「過去の植民地支配と戦争の反省が大事だ」と。それから、宗教については面白いことを言っている。「現在、宗教的意識に反映されている社会的な現実が解消され、それとともに宗教的反映そのものも消滅する」と、宗教は不要になると。これはエンゲルスが『反デューリング論』で説明していると。今は具合が悪いから、いろいろな宗教があるけれど共産党が目指す理想社会になれば、それは必要なくなると言っている。