安保法廃止で共産は大失敗も 筆坂氏
筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(4)
「戦争法」の命名こそ憲法違反 田村
筆坂 政権交代の時の選挙で、共産党は300小選挙区のうち150くらいしか立てていない。何も民主党に協力するために立てないのではなく、供託金の没収がすごい額に上るから立てられなかった。
田村 最近はそうだ。
筆坂 あれだけ政権交代と騒がれていた時だから、共産党の支持者が民主党に入れようか、ということで自主的に投票した。それで大勝した。田村さんが言われたように、今度みたいに大々的にやった時にあれだけの効果が出るかどうか。
田村 あの時の選挙で一番大きかったのは、自民党はダメだからということで保守の票が民主党に行ったことだ。民主党は、元自民党の人間がいるから安心できるし左もいるから安心できますよ、受け皿としてOKということで政権交代がうまくいった。今度はそういうことにはならない。共産党と組むとはこういうことだ、とやれば違うと思う。
筆坂 もともと保守の票が行った。
田村 そう、それが大きい。
筆坂 だから極端だ。6年前の参院選で、民主党が比例と選挙区で、だいたい1700万~1800万だった。3年前は700万だった。1000万減ってるわけだ。1000万というのは、革新票ではなく保守票だ。
田村 今、僕の所に集まってくる若い人たちが、民主党に票を入れてその結果、大失敗したという。それで逆に安倍さんを応援しなきゃと一生懸命やっている。ものすごい反動だ。そういう人は、もう民主党には行かないだろう。もう懲りてしまい、失敗した、まずいことをしたと言う。
選挙でうまく立ち回る共産
筆坂 選挙で言えば、共産党の善戦の背景は簡単だ。僕は引き算だと思う。共産党に入れて、いくらか議席を増やしたところで何かが実現するわけでは絶対にない。5人が10人になったところで、政治はそんなに変わらない。それなのに、何でかというと、まともな野党がないからだ。結局は引き算だ。だから、しばらくは今程度は続く。だって、民進党だって期待が高まっているわけでもなんでもない。そういう意味では、共産党は、今度の選挙でうまく立ち回っている。一緒にやろう、一緒にやろうと。ところが、民進党としてはコアな所が逃げたら困ると。
田村 腰が引けてる。
筆坂 しかし、世の中の人は共産党が犠牲になっても一緒にやろうと言っているではないか、共産党の方がずっと立派ではないか、となる。
田村 共産党がどういう政党かという実態を知らないからそうなる。昨年から国民連合政府を、と言っている。差し当たって一致できる目標の範囲での統一戦線をやろうと。平和安全法制の廃止だけで結び付いてやろうと言っている。民主主義を尊重するなら、多数決で通ったわけだからそれに従うのがルールでしょ。それを廃止するというのは時間の無駄でしかない。
筆坂 僕は、共産党は安保法制廃止で失敗すると思う。一つはできたばっかりではないかと。国民はリアリストだから、できたばかりのものをまた廃止するというのはできっこないと思う。共産党がこれを前面に押し出して今度の選挙をやれば、大失敗するだろう。京都市長選挙が今年の2月にあったが、自民、公明、民主が組んだ候補に対して共産党の独自候補は、4年前は3万票くらいの差だったのに、今年は12万票余りの大差で、当選者の半分ぐらいの得票にとどまった。京都市長選でこんなに惨敗したのは初めてだ。この選挙で共産党候補が何やってたかと言うと安保法制廃止を訴えていた。
田村 山形の市長選でも、共産党が応援したから、それで票を減らしちゃった。
筆坂 安保法制廃止なんてそもそも京都市長選挙、山形市長選挙に関係ないんだもん。
徴兵制というレッテル貼り
田村 だいたいね、戦争は国際法違反だ。それなのに、法律にその名前を付けたら憲法違反だ。戦争法なんて言っている連中は、憲法違反を主張して立憲主義に反対していることになっている。徴兵制だってそう。レッテル貼りだ。今の憲法で徴兵制なんてできないんだから。集団的自衛権の解釈を変えたって法律を作ったって、徴兵制はできない。本気でやるなら憲法を改正するしかない。自民党の憲法改正草案だって、徴兵制にするなんて言ってない。世界を見回して、徴兵制だった国も志願制になっている。ドイツだって、スウェーデンだってそうなっちゃってる。