今も日本共産党憲法草案を自慢 筆坂氏

筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(5)

現行憲法の制定時に反対した党 田村

立憲主義を語る資格がない

 筆坂 共産党には立憲主義を語る資格がない。そこまで言うなら、憲法改正を言わなきゃ筋が通らないでしょ。この前、朝日新聞に面白い投書が出てた。法治国家なら、憲法改正をする必要がある。普通に考えれば、自衛隊は、憲法と相いれないはずだよと。日米安保条約だってそうだ。法治国家でありこれが必要だというのであれば、憲法を変えるしかないと。朝日新聞の投書にしては珍しい。そうしたら、翌日の産経新聞まで、高校生が憲法改正が必要だと書いていたので、この二つを使ってコラムを書いた。

800

「日本共産党憲法草案」の前文(『日本共産党綱領問題文献集』日本共産党中央委員会出版局刊より)

 あれだけ立憲主義、立憲主義と言いながら、自衛隊をなくすとは言わない。なぜかといったら、それは簡単だ。そんなこと言ったら、選挙で大負けするからだ。

 田村 自衛隊の評判が、震災時の活躍もありものすごく良い。それをなくすと言ったらハチャメチャになる。

 筆坂 法制局で理屈を言ってきたけど、本当は憲法違反なんだ。どう見たって軍隊ですよって。しかし、やはり日本の安全上、やむを得ないからこの解釈でやってきたと。しかし、そもそもこの解釈には無理があることは国民も分かっている。分かっていて呑(の)み込んでいるんだから、この際、きちっとしましょうよ、9条を変えましょうよと言えばいい。

 野党の方で、憲法改悪反対と言っている人は、「いいやそんなことはない。自衛隊は合憲だ」と言うべきだ。だから、憲法を変える必要がないと言うべきなので、改憲派と護憲派の言ってることが反対なんだよ。共産党なんか「憲法違反の軍隊」と言っているんだから、それをすぐになくせと言わなければ、筋が通らないじゃないか。なんで、参議院選挙の第一のスローガンに「憲法違反の自衛隊をなくします」と言わないのか。

 田村 言ってるのではないか。

 筆坂 いや、そんなことを言ったら国民の支持を得られないから、自衛隊や日米安保には触れない。それで戦争法反対、憲法守れなんて言っている。

 田村 もともと日本国憲法を作ったときに、良くないと言ったのは日本共産党だけだ。

 筆坂 あれは、立派だった。

 田村 今は、日本国憲法全部良いからそれを守ろうと言っている。もうハチャメチャだよ。

くるくる態度を変えてきた

 筆坂 憲法の条文は一字一句変わっていないのに、改憲派から護憲派になったということは、共産党がくるくるくるくる態度を変えてきたということだ。

 田村 時代に合わせて、口先だけね。

 筆坂 国民受け狙い。それだけだ。

日本共産党が自分で作った人民共和国憲法草案を日本共産党憲法草案と呼び名を変えたようだが、今はどうなっているのか。

 筆坂 あれを持ち出すことはない。ただ、いまだに自慢はしている。なぜかというと、あの時、主権在民を記述したのは、日本共産党だけだという。それだったら、言いたいことがある。例えば、労働組合とか大衆団体や政党も入ると思うが、こういうところに対して、印刷費とか助成制度を提案している。言ってみれば、政党助成金だ。ただし、民主主義的な団体に限る。そうするとたぶん自民党は、反動派と分類される。要するに、この政党は民主主義的だ、この政党は反動的だと政府が分類するわけだ。これでは結社の自由はないことになる。これが共産党の憲法草案だ。主権在民を自慢するなら、そういうところもちゃんと言いなさいよと言いたい。