「アメリカ第一」のトランプ氏
韓国紙セゲイルボ
米国の孤立主義傾向を反映
「米軍2万5000人が韓国を守っているが、韓国は一銭も出していない」
米共和党のドナルド・トランプ氏が2011年に言ったことだ。当時、韓国は米軍駐留費として7億㌦を出していた。彼は同年8月、アラバマ州バーミングハムでも、「米国が軍隊を韓国に派兵するのに恩返しがない」と主張していた。
25日、ニューヨーク・タイムズとのインタビューでは韓国が防衛費分担金を増やさなければ在韓米軍を撤収するとまで主張した。韓国は14年、在韓米軍分担金として約9200億ウォンを拠出している。毎年物価上昇率を反映して4%程度引き上げている。韓国が負担する駐留費をトランプ氏が「アメ代」と言ったが、よく分かっていないようだ。
在韓米軍分担金を増やさなければならないという要求は1995年にも出された。当時、米国は日本水準に上げろと要求した。駐屯軍全体費用で占める分担比率は韓国が42%、日本が50%程度だ。
「アメリカファースト(第一)」主義者を自任するトランプ氏が米国を導くことになれば、韓国は国防問題で大きな変化を余儀なくされるだろう。米国は北朝鮮を事実上、核保有国と見て、新戦略を立てている。韓半島安保のための新しい武器体系も必要だ。すぐに戦略核を配置できないならば、サード(高高度ミサイル防御体系)が次善策となる。
だが1兆ウォンに達する配置費用は誰の負担になるのか。予備用ミサイルまで含めば1兆5000億ウォンかかる。現在までに分かっていることは韓米駐屯軍地位協定(SOFA)により、韓国が敷地と基盤施設を提供し、米国がサードの展開費用と運営維持費を負担するということだ。
エシュトン・カーター米国防長官は22日、「原則的に(配置することに)合意した」と述べたが、費用問題をどのようにするかには言及しなかった。
トランプ氏が当選すれば、新しい論理を持ち出すことは明らかだ。サードは韓国安保のために使うものであるから、韓国が費用を負担せよと主張するだろう。
トランプ氏の発言は米国利益優先主義、世界警察放棄、外交的孤立主義の信号弾だ。米国内の熱狂的な支持を見ても、このような傾向はトランプ氏だけではないと見られる。
ヒラリー・クリントン氏が政権に就いても、トランプ氏支持者らを抱え込もうとするなら、彼の公約の一部を政策に反映しないわけにはいかなくなる。日本の安倍晋三首相に続き、米国の次期指導者も保守化トレンドに乗るだろう。
韓米関係が以前と大きく変わると予告されている。国際政治に注目し、対応策を用意するのが韓国の急務だ。
(韓容杰(ハンヨンゴル)論説委員、3月31日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。