【韓国紙】未来の韓中関係は感性と理性の間で


韓国紙セゲイルボ

“反中”拡大も冷静に判断を

4日、北京の国家体育場で行われた北京冬季五輪開会式に出演した朝鮮の民族衣装姿の女性(EPA時事)

 今年は韓中国交正常化30周年。韓国動乱(朝鮮戦争)以後40年の反目を清算して“社会主義中国”と国交を結び、両国関係が刮目(かつもく)するほどの成長を遂げたことも事実だ。

 これまで両国は「互いに違うことを認めつつ共同利益を追求する」ことで、制度・価値の差や北朝鮮要因の問題などがありながらも、経済交流を前面に出して相互関係を牽引(けんいん)してきた。しかし、THAAD(高高度防衛ミサイル)配備をめぐる対立と、その後の経済報復や「限韓令」による行き詰まりはまだ続いている。

 こんな状況で、北京冬季五輪の開会式で朝鮮族が韓服を着て、農学踊りまでが登場すると、溜っていた韓国人の感情が爆発した。中国は社会主義革命に貢献した民族として1元紙幣にも韓服を着た朝鮮族女性がいる程、朝鮮族を待遇しているのに、韓国がことさら中国を攻撃するとして不満だ。

 事態が広がると、当初、韓国メディアと政治家の扇動が事態を大きくしていると言っていた中国政府は、外交経路で韓服が韓民族固有の伝統文化だとして一歩後退したが、同時に朝鮮族文化だとも言って、中国的解釈の余地も残している。

 最も問題なのは、韓国の対中感情が嫌中を越えて反中まで拡大していることだ。さらに大統領候補者たちの対中強硬発言を連発して、未来の韓中関係を不安にしている。

 このような民間の情緒で韓中関係の全ては説明できないが、未来の韓中関係のために中国が少なくとも敵対する対象でないならば、感性と理性の間で冷徹に現実を判断しなければならない。

 北朝鮮の核問題などで中国の協力を期待することは容易ではないが、韓中経済や文化関係などは明らかに二国間の性格が強い部分が存在する。特に経済関係は未来市場と関連して韓中両国の共感のある部分だ。

 韓国の対中貿易額は米国と日本を合わせたよりも多く、原資材では対中依存度が80%を超える品目が1500以上もあり、半導体・通信製品などに必要な主要原資材における中国依存度は70%以上だ。

 韓国における対中関係は親中と反中フレーム、すなわち親中は反米に、反中は親米につながる。しかしこれは韓国側の考えだ。米国が自身の観点で中国問題を扱うように、韓国も自分の観点が必要だ。文化論争に関しては尊重を要求し、政府間の積極的な管理を引き出すべきで、安保に関した北核や北朝鮮問題は明確に韓米同盟が基盤になるほかはない。

 だが経済協力などに関しては理性的で冷徹な対中アプローチが必要だ。私たちは米国ではないためだ。

(康埈榮(カンジュンヨン)韓国外大教授、2月23日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

理性的対応が難しい対中関係

 北京五輪の開会式に韓服が登場したことで、「文化泥棒」だと韓国人は頭に血が上った。だが、チマチョゴリは数多い中国の少数民族(朝鮮族)衣装の一つだが、どうしてこれほど韓国は過敏に反応したのか。これには伏線がある。

 まず、韓国は“自身の歴史”が中国に盗られるとの恐れを抱いている。中国が進める東北工程だ。これに加えて最近では「キムチは中国の包菜が元祖」だとか、端午の節句を中国がユネスコ文化遺産登録した、だとか、文化までが盗られると反発していた。そこに今回の韓服騒動である。どこまで歴史と文化を盗れば気が済むのか、というわけだ。記事には書かれていないが、五輪での韓国選手に不利となった不可解な判定もあり、これらがさらに怒りに“燃料投下”した。

 だが、これに水をかけて冷やそうというのが康教授の主張である。韓国は安全保障面では米国と同盟を組む一方で、貿易は日米を越える額を中国と取引しており、対中依存度が高い。いったん中国の怒りを買えば、かつてのサード事態や限韓令のように報復を受け、韓国は不利益を被る。康教授は「感情と理性」をコントロールしなければ、韓国は立ち行かないという現実を想起させようとしているのだ。

 周辺を「4強国」に囲まれ、しかもそのうち「2強」の米国と中国は“多方面”で対立している。この両者と上手(うま)くやっていかなければならないという地政学的制限を抱える韓国としては、難しい方程式を解かなくてはならず、冷静さが求められるのだ。

 しかし、これは“沸点の低い”韓国人にとって難しい課題だ。日本に対して歴史問題と経済外交関係を切り離して扱う「2トラック」が思惑通りにいかないように、安保は米国、経済は中国、という綱渡りを両者が許してくれるかどうか。ともあれ、とりあえずは高まった反中感情を大統領候補たちが選挙に利用しないことだ。

(岩崎 哲)