【韓国紙】物価高騰に“モグラ叩き”方式で対応できるのか


韓国紙セゲイルボ「社説」

「レギュラー1リットル2570ウォン(約246円)」と掲示しているソウル市内のガソリンスタンド(21日、セゲイルボより)

 恐ろしいほどの物価高騰だ。ソウルのガソリン価格が21日、1リットル当たり1800ウォン(約172円)を超えた。2カ月ほど前に施行した政府の「油類税」引き下げ効果が消えたのだ。卵・白菜など食料品の物価も上昇し、塾や予備校の授業料、代行運転代などサービス価格まで一緒に上がっている。1月の消費者物価指数の調査対象468品目のうち339品目の価格が1年前に比べて上がったのだ。消費者物価は10年ぶりに4カ月連続3%台の上昇を継続しており、インフレの衝撃が国民生活全般に急速に拡散する様相だ。

 ところが政府の物価対策は情けないことこの上ない。企画財政部(財務省に相当)は23日からお粥(かゆ)、ハンバーガー、ジャージャー麺、サムギョプサル(三枚肉)など12の外食品目のフランチャイズ別の価格を毎週公表する。今週末か来週初めにもフライドチキンとトッポッキの配達アプリ別の手数料も公開するという。これに先立って政府は大型食品会社9社に物価安定への協力を要請したが、その場に“経済検察”公正取引委員会の関係者を同席させた。露骨に企業を圧迫して物価を統制しようとする官治経済の亡霊を復活させようということなのか、問わざるを得ない。こうした“モグラ叩(たた)き”方式の対症療法が通じるわけがない。

 物価が上がるのは新型コロナウイルス事態で市中に金が過度に流れた上に、国際原資材価格の急騰、国際サプライチェーンの亀裂など、対外的な悪材料が相次いでいるためだ。

 このような中、政界は大統領選挙前の票を意識した税金ばら撒きに汲々(きゅうきゅう)としているので、自ずとため息が出る。与野党は21日、紆余(うよ)曲折の末、国会本会議を開いて16兆9000億ウォン規模の追加補正予算案を処理した。予備費まで合わせれば執行予算が17兆3000億ウォンで、政府案の14兆ウォンより3兆3000億ウォン増額したのだ。火が付いた物価に油を注ぐようなものだ。韓国銀行が24日、基準金利(公定歩合)を決定するが、金利を上げても効果が半減するのは明らかだ。

 問題はインフレ圧力がますます大きくなる見通しが大きいという点だ。3・9大統領選挙が終われば、これまで押さえ込んできた電気・ガス料金など公共料金まで上がって、物価が統制不能の状況に陥る恐れもある。ここに不動産と株式などの資産バブルがはじければ、消費萎縮を避ける方法がない。韓国経済が景気低迷の中での物価上昇を意味するスタグフレーションの沼にはまる心配も出てくる。非常な覚悟と格別の対策が必要な時だ。

 米国の1月の消費者物価指数が40年ぶりの伸び幅を示すと、バイデン大統領は「あらゆる手段を駆使して物価を安定させる」と言った。政府はインフレ長期化に備えて財政支出・金利・為替レート・税制を総合した中長期的な対策を講じるべきだ。海外資源を最大限確保して、グローバル供給網の管理にも万全を期さなければならない。

(2月22日付)