【韓国紙】執務室の龍山移転計画めぐり新旧大統領が衝突
文在寅大統領と尹錫悦当選者が大統領執務室の龍山移転計画をめぐって正面衝突した。大統領府は21日、「新政府発足前まで国防部、合同参謀本部、大統領執務室と秘書室など補佐機構、警護処などを移転するという計画は無理な面があるとみられる」と表明した。これに対し、尹当選者側は「残念だ」として、「協力を拒否するなら、通義洞(現在使用している事務所)で国政課題を処理する」と激昂した反応を見せた。尹当選者が最も力点を置いて推進する執務室の龍山移転をめぐり、双方が衝突して政局は急速に冷却している。順調で安定した政権委譲作業に支障を来している様相であり、憂慮される。
大統領府がブレーキをかけたことで、関連予算の作業も当分推進が難しい見通しだ。尹当選者側は本日の閣議で予備費支出の承認が完了し次第、国防部の移転作業から直ちに進める方針だった。しかし大統領府高官は「(22日予備費案件の)閣議上程は難しいだろう」と明らかにした。このように対抗していては、一度延期になった文大統領と尹当選者の会合も実現するまで難航が避けられない見通しだ。
双方は21日の実務協議でも接点を見いだすことができなかった。大統領府の発表前から民主党と国民の力は既に激しい言い争いをしている。民主党の尹昊重非常対策委員長は「(龍山移転は)民生に百害無益で国家安保にとって災難も同然の選択」と非難した。半面、大統領職務引き継ぎ委員会の青瓦台移転タスクフォースのチーム長、尹漢洪議員は「500億ウォンにもならない移転事業を1兆ウォンかかると言っているが、狂牛病(事態)が思い出される」と反撃した。こうした攻防を見れば、まだ与野党は最悪のネガティブ選挙と呼ばれた大統領選挙の延長線上から抜け出していないようだ。
大統領室の龍山移転については、尹当選者が十分な根回しを行わなかったという指摘が出て、国防部の人員移動に伴う安保空白の心配も少なくない。それにもかかわらず“脱青瓦台”が持つ象徴性は少なくない。文大統領も大統領候補の時に、光化門庁舎への移転を約束した。双方が互いに一歩ずつ譲歩し接点を探すのが不可能でないのはそのためだ。しかも、国内外には難題が山積している。新旧政権が互いに相手の立場に立って考え、相互尊重する姿勢が切実に求められる。双方の衝突は選挙後も続いている反目と憎しみの民心に油を注ぐようなもの。両陣営の対立を激化させる意地の張り合いは直ちに中断されなければならない。文大統領と尹当選者が前面に出て、国民を不安にするこの絡まった糸を早急に解きほぐさなければならない。
(3月22日付)