16年同じ人がトップは不思議 田村氏
筆坂元日本共産党ナンバー3と田村自民党政務調査会審議役が対談(10)
集中制だけで民主主義がない 筆坂
筆坂 自民党のある都議会議員が、共産党は護憲政党を装っているが、本当にそうなのかと質問した。そして、憲法制定議会での野坂参三の演説や討論を読み上げた。「戦争には正しい自衛の戦争と間違った侵略戦争がある。われわれは自衛戦争を肯定するのだ。ところがこの憲法9条はなんだ。自衛軍は持てない、自衛権すらないと言っている。こんなもので国の独立が守れるのか」と。それをユーチューブで見た。
それに映ってはいなかったが共産党の都議会議員が議長席に詰め寄って、やめさせろと猛烈な抗議をした。舛添都知事が答弁する時も続き、知事が「少し静かにしてください」というくらいの猛抗議だったそうだ。憲法9条に反対したことを、今の共産党の都議会議員は知らないのだ。野坂参三がそのようなことを言っているとは、でっち上げだと思っている。だから猛烈に抗議した。
都議でも9条反対の過去知らぬ
その後、調べてみると、都議団の幹事長の名前で、自民党都議団の幹事長に抗議文を送った。書いてあることは1行。「護憲政党を装って」というところだけに噛(か)みついている。全然知らなかったわけ。そんなもんなんだ。都議会議員クラスですら、共産党が憲法9条に反対したことを知らない。だって、護憲政党を装っているくらいだったら、そんなに猛烈な抗議をする必要がないではないか。いかに知らないかということだ。みんな知らないから、あんな「憲法9条は世界の宝」なんていうプラカードを掲げる。「反対したのは共産党だ」というと「ウソです」と絶対に言うよ。
田村 それと、民主主義を大事にするというのは良いが、党内民主主義も大事だ。大体トップの任期は決まっている。自民党だって、どこの政党だって、2年とか3年とか、青年会議所は1年とかね。
夫婦でも組織の会話ができない
筆坂 やはり民主集中制という組織原則に一番の問題がある。共産党の民主集中制の一番の特徴は、「横の連携を一切取ってはならない」ということだ。例えば、あるところに一つの支部があり別なところにもう一つの支部があるとすると、これの交流は絶対禁止だ。夫婦でも、例えば僕と女房は三和銀行時代、支店が違うから別の支部だった。そうすると夫婦でも組織の会話をしてはならない。なぜかというと、こっちの支部にどういう党員がいるかとか、全部ばれてしまうから。警察に捕まってしゃべってしまったら、みんな芋づる式になってしまう。だから、横の連絡は絶対取ってはいけない。例えば、新宿地区委員会と港地区委員会が、上級機関である東京都委員会に無断で、共同で何かをやることなんか絶対にない。
田村 いわゆる迷路にしているわけだ。
筆坂 全部つかめるのは上だけ。上から下に来る組織なんだ。横の連携は厳禁。規約には、各級機関の役員は選挙で選ぶとなっているが、機関は上から中央委員会、都道府県委員会、地区委員会、支部委員会とある。
例えば地区委員会の場合、地区党会議というのがありそこで地区委員を選ぶ。会議参加者に候補者名簿が記載された用紙が配られる。それを○×で選ぶ。だが会議参加者は他の支部の人を知らない。そりゃそうだ。横の連携が取れないわけだから全く分からない人を選ぶ。党大会までずっとそう。だから、選挙なんてない。地区委員会から県委員会、中央委員会までずっと候補者名簿が出されるだけだから、信任投票にすぎない。党委員長も選挙ではない。本当は自民党のように党首選挙をやればいいんだが。
田村 16年間ずっと同じ人がトップにいるというのは不思議だ。北朝鮮だったら分かるけど。まだ、中国の方が任期が決まっている。あっちの方が民主主義的だ。
筆坂 それだけ見ても民主主義のある政党とは言えない。集中制だけなんだ。民主主義はないように作ってあるんだ。





