最高レベルの研究機関で活性化 平沢勝栄 復興相

「関係人口」拡大にも意欲

平沢勝栄 復興相

 平沢勝栄復興相は9日、世界日報社を含む報道各社のインタビューに応じた。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の被災地復興に向け、国が福島県沿岸部で計画する国際教育研究拠点について「世界最高レベルの研究機関をつくる」と述べ、地域活性化へつながる試みとして力を入れる考えを強調した。また福島県産の農産物などに対する輸入規制の撤廃・緩和に向け、諸外国に強く働き掛けていく姿勢を示した。

インタビューに答える平沢勝栄復興相=9日、東京

(ひらさわ・かつえい) 昭和20年、岐阜県生まれ。東大卒。警察庁入庁後、米デューク大大学院(修士)、長官官房審議官などを経て、自民党衆院議員。内閣府副大臣、衆院外務委員長など歴任。当選8回。

人口減少が進む中、将来的に被災地がどのような姿になることを期待するか。

 被災地はどこも震災前に比べて大きく人口が減った。安心して快適に暮らせる生活環境、社会環境を作ることが大事だが、それだけで人口が増えるわけではない。

 そういった中で、福島に国際教育研究拠点をつくることになっている。単なる研究機関の一つでは全く意味がなく、世界に冠たる研究機関をつくりたい。世界最高レベルの研究機関をつくることによって、福島・東北のイメージは変わる。研究者を含め多くの方が住み人口も増える。そういった新しい試みを次々やることが地域を活性化させ、大きな転換につながる。

来年で震災から10年になる。東北の復興と現状をどう発信するか。

 一つの大きな区切りを迎えるが、まだまだ先は長いと痛感している。福島でいろいろなご意見を伺ったが、まだまだ国からの支援、救いの手を差し伸べてもらいたいという声が非常に強く、全く私自身もそう感じている。

 地域の実情に応じたいろいろなニーズがあるので、一律にとらえるのではなく、きめ細やかな支援をしていきたい。風評被害や問題の風化を心配する方も多く、そのための情報発信にも全力で取り組んでいきたい。

福島の農業復興にどう取り組むか。

 農産物等の価格が震災前の水準にまだ戻っていない。原発の風評被害の払拭(ふっしょく)が大きな問題だが、あわせて輸入規制の撤廃、緩和について、あらゆる機会をとらえて情報発信し、厳しく働き掛けをしていきたい。

トリチウムを含む処理水についてどのような処分方法が適切と考えるか。

 関係者の意見を十分踏まえて、できるだけ早く結論を出さなければいけない。政府全体で責任をもって、風評被害対策も含め結論を急ぎたい。

新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックの簡素化が決まった。「復興五輪」から「コロナ克服五輪」の色が強くなっている。

 「復興五輪」でスタートした五輪だということを世界に発信することが大事だ。被災地に大きな支援をくださった世界の方々への感謝と同時に、大きく様変わりした被災地の状況をぜひ見ていただきたい。そういったメッセージをあらゆる方法を使って世界中に発信していきたい。