被災地の風評被害払拭に尽力 田中和徳 復興相
田中和徳復興相はこのほど、世界日報社を含む報道各社のインタビューに応じ、2020年度末で設置期限が切れる復興庁の後継組織について年内に具体像を示すとともに、被災地の風評被害払拭(ふっしょく)をスピードアップしていくと語った。
被災地の現状認識と、関心を持って取り組むことは。
住まいの復興やインフラ整備、帰還環境の整備など本格的な復興再生に向けた動きが進んでいる。復興の総仕上げの段階を迎えている。
被災地の生活を守り発展させることが復興大臣として重要な使命。私自身が国内外へ積極的に情報発信を行い、風評被害払拭にも取り組んでいく。
21年度以降の組織、体制の在り方についての見解を。
復興庁の後継組織については、今年中に具体像を示したい。設置期間などについてもしっかり検討していく。
復興庁の存続を求める一方、防災機能も合わせた「防災・復興庁」を求める声もある。
後継組織は政治の責任とリーダーシップの下で、復興庁と同じような司令塔機能を発揮していくことが求められる。福島の復興には中長期的な対応が必要だ。国が全面的に立って取り組む必要がある。
被災者にしっかり寄り添うことのできる組織でなければならない。何と言っても第一は地元の声、被災者の声を最優先すべきだ。
風評被害対策で力を入れる点は。
風評被害の払拭に向け、ソーシャルメディアを含むあらゆる媒体を活用し、政府一丸となって取り組んできた。海外に対しても、6月の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)やアフリカ開発会議(TICAD)など国際会議の機会を活用した情報発信や、政府関係の要人への働き掛けを行ってきた。来年の東京五輪も風評被害払拭の最高のチャンスだ。
自民党の国際局長を2期務め、過去に99カ国に行った経験があるので、そういう知見も含めて風評被害の払拭をスピードアップしていきたい。
来年の東京五輪・パラを復興にどうつなげていくか。
復興しつつある被災地の姿を国内外に発信する絶好のチャンスだ。被災地での競技開催や聖火リレーの実施を含めてさまざまな取り組みが予定されている。これらが円滑に実施されるよう被災地の自治体、組織委とも緊密に連携を取っていく。復興五輪だと評価してもらえるよう最善の努力をする。そのことが被災地に勇気を与え、復興に大きく力を与えることになるだろう。
依然4万人以上いる避難者への支援は。
避難生活の長期化や災害公営住宅への移設など、復興のステージに応じた切れ目のない支援策が必要。具体的には見守りや、住宅・生活再建の相談、コミュニティーの形成、心の復興などの取り組みを支援することが重要だ。