全国民にデジタル化の恩恵を


平井卓也 デジタル改革担当相

 平井卓也デジタル改革担当相は30日、世界日報社を含む報道各社のインタビューに応じ、来年中の新設を目指すデジタル庁について「全ての国民にデジタル化の恩恵がちゃんと届くようにするのが目標だ」と述べた。デジタル改革の骨格となるIT基本法改正について、理念やビジョンを明確にしたシンプルなものにすると説明した。

デジタル庁が果たす役割や設置時期は。

平井卓也 デジタル改革担当相

 ひらい・たくや 昭和33年、香川県生まれ。上智大卒。電通、西日本放送代表取締役社長を経て、自民党衆院議員。衆院内閣委員長、IT政策担当大臣など歴任。当選7回。

 なぜデジタル社会を進めなければならないのか国民に説明し、実現するための組織としてつくる。システム改革だけではなく、あらゆる行政サービスの改革、わが国の成長戦略も担うべきだ。全ての国民にデジタル化の恩恵がちゃんと届くようにすることが目標だ。(設置時期は)来年中だ。今までの霞が関とは全然違うスピードで進んでいる。

デジタル庁は公共インフラのデジタル化にも関わるのか。

 所掌範囲や権限は、有識者らの知恵を集め、海外の取り組みも参考にしながら検討する。医療、教育、防災などの準公共分野も含めた社会全体のデジタル化を強力に推進していこうとなると当然、重要インフラにどのように関わるのかも考える必要がある。

本日発足のデジタル改革関連法案準備室で扱うものは。

 骨格となるのは、IT基本法改正と(デジタル庁)設置法だ。個人情報保護法、マイナンバー法なども触らないといけない。

IT基本法改正のポイントは。サイバーセキュリティの強化も急がれるが。

 2014年に私が議員立法でサイバーセキュリティ基本法を作り、その後政府が改正案を2回出した。今度はデジタル庁をつくるに当たっての、IT基本法改正案ということで、法案自体は基本的な理念やビジョンを明確にする、シンプルなものにしたい。設置法は細かく書くが、(IT基本法は)デジタル社会を推進する理念法みたいなものにする。その中でサイバーセキュリティの確保に触れるが、そこに細かく書くということはない。

マイナンバーカードの普及策について、どう考えるか。

 既に2500万枚が発行されており、民間がいろいろなサービスを提供したいという段階に入ってきた。これから急速に普及する可能性がある。デジタル社会が進めば進むほど、自分が自分であることを証明できることが非常に重要で、マイナンバーカードは不可欠のものだ。それを分かりやすく説明する努力をこれからも続けていきたい。

教育分野のデジタル化についてどう考えるか。

 GIGAスクール構想によって、1人1台端末の配備が急速に進んでいる。これをハードを配布するだけで終わらせない。例えばクラウド上でさまざまな教材を利用できるようにしたり、学習者一人一人に個別最適化された教育を提供することを可能にするため、データの標準化やプラットフォームの議論をこれからわれわれが先導していきたい。